長い猫
□幕開け
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ここはピタゴラス事務所
つい先日、MARGINAL#4がデビューし
新たな一歩を歩み始めようとしていた。
そしてもう一人、新たな一歩を踏み出そうとする少女がいた。
牡丹色のセミロングを揺らし、社長室に着くと深呼吸をしてノックをする。
コンコン
「はい。どうぞ」
ガチャ
「失礼します。あのー、社長。
用事とはなんでしょうか?」
ひよっとして私何かやらかしたのかな、なんて思いながら恐る恐る社長に訪ねる。
だが社長から帰ってきた言葉はそんなことを思わせるようなものではなく、淡々としたものだった。
「あら、何もしてないわよ。それとも何か怒られるような事をしたのかしら?」
「い、いえ!でも社長自ら呼び出されるのって今までなかったもので‥」
「そうだったかしら?まぁいいわ。
とりあえずこの資料見てもらえるかしら?ああそれと、今は張が出張でいなくてね。悪いんだけどそこのキッチンでお茶を用意してもらえないかしら」
「は、はい。それは構いませんけど、もしかしてこの後お客様でも来るんですか?」
「お客様、というほどの子達ではないけど‥」
ん?子達?
「ああ、あと15分もすれば来るだろうから、あなたと私を含む6人分のお茶の用意とそこのテーブルにある書類、目を通しておいてね。」
「へ?私もですか?」
「ええ」
(なんだろう。何かの打ち合わせ?)
書類に目を通しながらヤカンに水をいれ、お湯をわかす。
人数分のコップと急須を用意し、キッチン上の棚にあると言われたお茶をみつける。
そこには緑茶葉と数種類の紅茶があった。
(ダージリンの紅茶だ、これにしよ)
一番好きな紅茶を見つけると茶葉をとり出し急須に入れる。いいタイミングでヤカンのお湯が沸いたので急須にお湯をいれ、数分蒸す。
その間に再度書類に目を通す。
ちなみに書類の内容は作曲の依頼とアイドルグループの専属作曲家としての依頼だった。
「専属作曲家って‥まだプロとしては未熟だと思うんだけどなぁ‥でもこれからは作曲する機会が増えるんだ。なんか楽しみ♪」
続きを読むと何やら見覚えのある名前があった。
「あれ?この名前‥ていうか私が作曲する専属アイドルってもしかして‥」
そこで社長室のノックする音が聞こえ、誰かが入って来るのが聞こえた。
「え?わわ!もうそんな時間!?用意して行かなきゃ!」