台本小説

□失恋【キルサキゆづライ】
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まさかこんなタイミングで言うことになるとは
左綺はどう考えても俺の話聴ける状態じゃないだろ?
でも入れてくれたしな…
「…結弦?」
「っ…えと…いいか?」
年を押して聞くと、左綺は何も喋らず、頷いた
そろそろ…言わないとな…
「俺、左綺が好きだ…ずっと前から、お前のこと好きだった。だから…付き合ってくれ」
言った、言ったぞ!やっと!
左綺の苦しそうな顔が目に入って、心が張り裂けてしまいそうなほど緊張している。
ダメなのか?
やっぱりキルがいいのか?
「やっぱ、そうなんだな…」
「え…気づいて…?」
気づかない方が可笑しいだろ…なんて苦笑混じりに返された。
そんなにわかりやすかったか俺?
じゃあもうそれ、確実に…
「結弦…返事な?聞いとけよ…?」
下を向いてしまった左綺に、なんて返していいか分からないまま黙っていると
『左綺ィ!!大型危険種が近づいてきてる!俺達だけじゃ抑えきれねェ!増援頼むぜェ!?』
「えっカイ様!?」
俺にも聞こえたその騒音、こんなに静かなのに危険種が?
「ごめん、行ってくる!帰ったら返事するから!」
「あ、あぁ…帰ってこいよ!」

そう言って見送ったあと、左綺は帰ってこなかった。






「ライオス、お前の気持ちが分かったかもしれん」
なんの話?と言うライオスに分からないのか?と返した。
「結弦の事だ。好きなんだろう」
「…別に、気持ちいいだけ」
そんな訳ないだろう?

って、思ってる顔してる、そうだね、あの時はね。
左綺が死んだのを知った結弦のあの、辛そうな顔を見てしまった。
あんなの見たら、諦めろって言われてる気分になる
だから…もう、なにが、どうなってもいいかなって。


私は、今更になって全てに気づいた。
結弦が左綺のことが好きで告白していたこと、ライオスが私との相手が面倒だと言いがかりをつけて結弦と行為をしていたこと、左綺が私を好いていた事。
私が左綺のことを好きだったこと。


おかしいとは思っていた、あいつの行動が気になって仕方なくなっていた。
だが私は身体を繋ぐことしか知らなかったのだ、それの意味は知らないままだった。

あの危険種の討伐には私も赴いていた。運のいいあいつが命を落としたのは、私のせいだ
私を庇って、死んだ。
その時自分の気持ちに気づいた。遅かった、全てが。

好きと思った頃には全てが遅かった。


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