台本小説

□失恋【キルサキゆづライ】
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好きと思った頃には何もかもが遅かった

俺は、キル様の事が好きなんだ、でもあの人は違う人が好きで…
「左綺、終わったのか?」
「終わりましたよ」
書類の整理を押し付けられて渋々やってたのだが、それも終わり、もう帰ろうとしてると呼び止められた。
「ライオスが何度呼んでも反応しない、見てきてくれないか」
この人も分からないな…
「そういう時って大体結弦とヤってる時じゃねーっすか」
あの人はそういうこと大好きだもんな
俺ならそんな、浮気っぽいことしないけど
「…では私達もするか?」
「はへぇっ!?なん…!?」
何言ってんだ!?キル様も馬鹿かよっ!
「待っているのは暇だからな」
「暇ならなんでもしていいのかよ…」
やめろよ、そういうの…期待するだろ
絶対しちゃいけないのに、俺なんてどうでもいいからそんなこと言えるんだろ…!?
あー嫌になってきた。
キル様のことを適当にあしらって部屋に戻った。

「なんでわざわざここでシてんですか」
「近くにあったから?」
帰ったらいるし、ちょうど終わってたからいいけど
つか否定とかしろよ、一応
「あーここやっぱ左綺の部屋だったんだなー」
「知らなかったのか?」
結弦ってここ…は、来てないか
キル様の部屋でならよく会うけど連れてきたりとかなかったもんなぁ
二人きりになるの嫌だったし…
「初めて来たのに…ライオス〜?」
「ごめんごめん、もうキルのとこ戻るから」
…これからまたキル様と…?
いや何考えてんだよ俺…だって……はぁ…



左綺が好きだ
ずっとそう思ってた。
でも隠していこうとしていた、あいつに会うまでは
このままだと取られてしまいそうで、あいつの心も何もかも。
絶対あれ、左綺はキルの事好きなんだろ?
あれのどこがいいのかは全然わかんねーけど
だってほら、ライオスも満足させてやれないんだろ
じゃなかったらわざわざおれのとこになんて来ないだろうし。
よってあんなやつを好きになる必要は無い!
だから、俺を…

「結弦〜?何考えてんの?」
「あ、いや…なんでも」
左綺が心配そうに俺を見ている
心配してるのはライオスの事かな?
まぁ気分は良くないもんな、やってることは悪いことだし…
でもな、俺はお前のことを考えてるんだ…
「左綺、話…いいか?」
真剣な眼差しを向けると左綺は分かりやすく肩を震わせた。
何を言われるのか理解してるのか?そんな馬鹿な。
「や、ちょ…今は疲れてるから…」
分かりやすく避けるなんて…でも、今強情になる必要は無いか。
「分かった、また今度な」
そう言って立ち上がる、左綺はすまなそうな顔をして
「あぁ、また」
…そんな顔をされて、またお前の顔を見るのは…辛そうだ。



結弦とのセックスは気持ちいい。
俺の脳内は基本そういうことしか無いから、だから沢山してくれるキルとずっと関係を保っている
このままだとも思っていた。
でも、それ以上のものをみつけた。
キルよりもイイもの、結弦とヤってみて、まだ欲しいと思った、だけどあいつには好きな人がいる、誰が見たって明らかだよな。
左綺のこと話すと止まらないし、ずっと一緒にいようとするし、当の本人が気付かないふりしてるのが気に食わないけど。

「ライオス、また結弦と?」
ん?珍しい
「嫉妬しちゃった?」
「そんなものは持ち合わせていない」
淡白だよな、まぁお陰で居やすいんだけど…
他のやつらと同じように冷たい目線を俺に向けてくるもんだから…関係を忘れてしまいそうになる。
俺はあんたにとってのなんだっけ?
「だが、やつとしておいて私とは無しなのが気に食わんのだが」
あぁー…なるほど
でも残念、珍しく俺は満足しちゃったんだよなぁ
「望まれるなら、ヤるけど…」
動く気ないからね?と言うとキルはそんなにやる気がないのか…と言って寝てしまった。
あーあ、不貞腐れちゃった。




関係などあいつの前では無意味なのだろうか?
日に日にライオスの態度が素っ気なくなっている気がする。
暇だ、左綺でもからかうか?
「仕事はまだなのか」
「あんたが手伝ってくれれば楽なんすけどねー!!」
愚痴りながらも作業を進める、随分と使えるようになったものだ。
そろそろご褒美が必要か?
「では手伝ってやろう」
「ひゃっ!?え?」
…?頬にキスをするのにも反応するのかこいつは
ただの感謝のつもりだったのだが、確か左綺の国の感謝は手を握る…とかだったか?どうにも慣れんな。
だがこの反応は遊びたくなってしまうな
「どうした左綺」
「なんでも…じゃない!何すんですかあんたはっ?」
動揺しながら私の動機を聞いてこようとする。
暇だったからでは怒られるだろうか?
それにしてもこんなに顔を紅くさせて、まるで…
「恋でもしているようだな」
「ッ!?」
不意に出てしまった言葉に左綺は顔を青ざめた。
紅くなったり青くなったりと大変だな
「は、なに…言って…?」
「なんだ?確信か?それとも嫌だったか」
「からかうのも…よしてください…」
がたっと立ち上がり、左綺はそのまま部屋を出ていった。

ふむ、わけが全くわからん…





あんな、あんなの…!!なんで!?
キル様の部屋を出たあと俺は走って自分の部屋に戻った、すれ違ったフシル様に何か言われたけど立ち止まれなかった。

部屋につく手前で結弦にあった、俺になにか用が…
あ…まさか…

「左綺、大丈夫か?いじめられたのかっ?」
「だ、大丈夫…それより…話?」

そう聞くと結弦は少し固まって、無理ならいいんだぞ?と言ってくれた
優しいよなお前は、そういうとこに付け入ってるみたいで、俺なんかが話してていいのか不安になる。
でも今は気にならない、どうでもいいことにも感じる。
とにかく今はどうしていいか分からなかった。
「無理じゃないから、部屋は入れよ…」
扉を開き、結弦を部屋に入れた。
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