長編

□Inperfect hearts #4
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美優紀side





「あんな、今日からな、彩ちゃんが戻ってきてんこっちに」
「えっっ、彩が!?」
「せやねん。やけどな彩ちゃんこっちにおった時の記憶が全くないねん。」
「っ!?なんでなん??」
「彩ちゃんな、あっちで自殺しようとしたんよ。手首切って、意識不明にまでなってん。ほんで記憶喪失になってもうたらしくて。しかもこっちにおったときの記憶だけないねん。」
「そんなぁ…なんでそんなことしたんよっ」
「彩ちゃんな、あっちでいじめられてたらしいねん。なんでかは彩ちゃん教えてくれへんし、どれくらいのことされとったのかもわからんねん。でも彩ちゃんって昔からほとんど泣かなかったくらいやから、たぶんむっちゃ強い子やと思うねん。その彩ちゃんが自殺するくらいやから相当ひどかったんとちゃうかな。」
「そんなん…そんなんこっち戻ってくればよかったやん!」





朱里が泣いている。
朱里は昔から泣き虫だけど、菜々ちゃんのこととか大きくなるにつれてちゃんと理解できるようになってからは一切人前で泣かなかった。みんなと約束したからって。
その朱里がこんなに号泣するやなんて、ほんまに辛いんやろな…。




「家の都合とかもあって無理やったんやろな。
ほんでな菜々ちゃんには隠しておこうと思っててん。約束のこととかあるから。でもな、菜々ちゃん見てもうたんよ、彩ちゃんのこと。ほんで倒れてもうて…。愛菜がな菜々ちゃんに彩のこと全部伝えるか悩んでたからな、うちが絶対言うべきやっていったんやけど…」
「おねーちゃんはなにも間違ってへんよ。どうせ菜々ちゃん号泣してたし苦しそうやったから伝えへん方がよかったんかなとか思ってるんやろ?」
「せや…けど」
「私がおねーちゃんでも同じ選択するで、絶対。」
「ほんま?よかったぁ」
「ほんまや。おねーちゃんは笑ってるほうが似合うで。しかめっ面してへんと!」





不思議やけど朱里に話すと元気になれるねんな
私は間違ってへん、そう思うことにした。
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