長編

□Inperfect hearts #3
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愛菜side




まじか。こんな短い期間で発作を起こすとは思ってなかった。とりあえず発作は収まったけど意識は戻らへんしまだまだ危ない。



「なあ愛菜」
「美優紀?どうしたん?」
「さっきな菜々ちゃんが『しゃーか?しゃーか??』って言ってん。ううん、言ってたってより呻いてたかもしれへん」
「ほんまか…」




きっと菜々は駅から出てくる彩のことを見たんやろな。それで発作を起こしたんか。急に驚いて。




…と、すると菜々は彩の姿を見ているわけで。
彩が記憶を取り戻すまで、せめて落ち着くまでは菜々に彩が戻ってきてることを隠すつもりやったけど、それは無理ってことやんな。




これは厄介なことになってもうたなあ。
菜々にどう伝えたらええんやろか。
彩になにがあったか正直に話すのは、菜々の負担にならんやろか。
なにより、菜々にとって生きる希望であり、生きる最大の理由であった彩との約束を彩が覚えてへんと知ったら、菜々は生きる意志を失ってまうんやないやろか。




だまりこんでどうするべきか考えていると


「愛菜、どうかしたん?」


って美優紀が聞いていたから、美優紀に相談することにした。美優紀も悩むかなって思っててんけど、答えはすぐに出たようやった。






「そんなん素直に伝えるべきやろ。菜々ちゃんは隠し事されるのが一番嫌いやねんで。隠しとったら私らにまで心閉ざしてまうよ」




美優紀のいうことは説得力があった。




菜々にすべてを話すことを決意した。
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