短編

□夏の終わりに
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彩→生徒会長も務める学校中の人気者
凛々花→基本一人で勉強してる静かな子、標準語

女子高、高3同クラ設定です。
それではどーぞ!






夏休み最終日の教室。
今日も朝からおる須藤さん。1人でずっと勉強しとる、夏休み中も毎日。



普段からまじめで誰とも深くかかわらへん。
いつもわきに難しそうな分厚い本を抱えとって。
その本を見ているときの、それから空を見上げる彼女の澄んだ目に私は惹かれていったんや。
初めて同じクラスになった今年の四月にはもう彼女が気になっとった。



自分で言うのもなんだが、そこそこ人望があって明るく元気な私とは正直、真反対な存在。
気が付いたら私は須藤さんをずっと目で追うようになっとった。



夏休みに毎日教室に来てるのなんて私と須藤さんくらいや。
私だって来るつもりはなかってん。
夏休みの初日に生徒会の仕事で学校に来て、たまたま教室の前を通った時に須藤さんの姿が見えたから、少しでも近づきたくて来ることにしたんや。
昼食をとるときに須藤さんを「一緒に食べへん?」と誘った。断られるかなと思ったけれど彼女からの返事は「いいですよ」やった。




それから毎日昼食を一緒に食べ、少しずつ話すようになっていった。
とはいえ、ほとんど私が話しているだけやねんけど。須藤さんは、あの澄んだ瞳で私のことを見て、どんなつまらない話でも楽しそうに聞いてくれた。




この夏休みで私の須藤さんが気になるという思いは、完全に須藤さんが好きへと変わっとった。
ずっと勇気が出えへんかったけど、二人きりになれることはもうないいかもしれない。
やから夏休み最終日である今日、須藤さんに告ることに決めたんや。
女子が女子に告るなんて傍から見たら変かも知れへんけど、女子高である私たちの高校では普通のことや。自慢じゃないけど私やって何回も告られた。まあ全部断ってんねんけどな。





「なあ須藤さん、私な須藤さんのこと好きやねん。」
「…はい?からかってるんですか??」
「ちゃうねん、私は本気で…。」
「……私やって山本さんのことずっと好きだったんですよ」





顔を真っ赤にして照れながら言う凛々花が可愛すぎて、私は思わず凛々花を引き寄せ抱きしめた。
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