長編

□Inperfect hearts #3
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菜々side





愛菜君から聞いた話は信じられへんかった。
でも愛菜君自身も悲しそうやったから本当のことなんやと思う。



彩は約束なんか忘れていて、もう帰ってこないんちゃうかって思っとったから、戻ってきてくれただけでもうれしかった。でも、心の中では彩は絶対に迎えに来てくれる、彩はずっと約束を覚えててくとると思っとった自分もおったから悲しかった。





そんなことより今、一番つらいのは彩なんや。
あんなに元気でかっこよかった彩がいじめられるなんて信じられへん。みんなに優しくて、運動もできて、いろんなことを知ってて、ずっと憧れとったのに。彩は変わってもうたんやろか。





いや、彩は変わってへんと思う。なんとなくやけど。
実は繊細で傷つきやすいところが、自殺未遂を招いたと思うから。みんなに優しい分、傷つきやすいんだ。やっぱり彩は彩やから。




私はどうしたらええんやろ。
彩に元気になってもらいたい。
また彩と二人で笑いたい。
彩には昔の記憶がない。やから私の記憶もないはずや。もちろん病気のことも知らないわけで。



せや、そんなら病気のことは隠そう。
ほんで彩を支えよう。あの頃の彩が私にしてくれたように。
もう一度彩が心を開いてくれて二人で笑いあえるように。
みんなでまた心から笑いあえるように。
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