とある異世界の一方通行

□プロローグ 川に落ちた
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「……………っは……」

目を開いてはじめに見たのは、見慣れない天井だった。

「ん?……あぁ、目が覚めたのかい。

大丈夫か?あんた、名前は?」

カーテンを開けられ、そこに居たのは白衣を着た女性。

ショートカットで蝶の髪留めが輝いていた。

体を起こしながら名乗った。

「三上、三上あきです……。

あの、ここは?」

「動いて大丈夫かい……?

ここは、武装探偵社の医務室さ。

私は、与謝野晶子。よろしく、三上。」

よさのあきこ?確か、日露戦争のとき詩を発表して話題になった人だっけ。あとは、みだれ髪……?

というか、ぶ、武装探偵?

武装って、一体何するとこなのよ。

「ちょっと待ってて、人を呼んでくる」

与謝野さんは、扉を開けて行ってしまった。

えっと、私は、三上あき、学園都市の研究所にいたはず。

能力は、学園都市の第一位と同じ。ただし、LEVEL4。

なんで、ここにいるんだろう。
記憶が飛んでる……。

学園都市に帰って、研究者に聞こう。


再び扉の開く音がした。

「大丈夫かい?私の名前は、太宰治だ。良ければ、私と入水しようではな」

彼が言い終わる前に、隣の眼鏡をかけた男性が手にしていた手帳で彼の頭を叩いた。

だざいおさむ。ええっと、走れメロス、津軽、人間失格だっけ?

「気にしないでくれ。俺は、国木田独歩。
川で溺れていたんだが、覚えているか?」

太宰さんは、何するんだいと騒いでいる。
くにきだどっぽ、武蔵野だっけ?

川?え?

「かわ……?」



「あぁ、落ちたんです。川に。」

そうだ、実験だ。

なんの実験だっけ。

「あ、ごめんなさい。助けていただいたのにお礼もせず……。

ありがとうございました。」

慌てて頭をさげる。

「いいんだよ、いつものことだしね。 ね、国木田くん。」

「あぁ、お前のせいでな。」

太宰さん、入水って言ってたし……
私の知ってる太宰治で間違いないのかも……

「あ、あの、聞きたいことが……」

「なんだ?」

国木田さんが答えてくれるらしい。

「学園都市ってここからどれくらいですか?」






















「学園都市?」

−学園都市って日本にあった?−



私が知ってる日本と彼らの知ってる日本は、違うようだ。
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