フェアリーマジック
□私の魔法
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「ただいまー!」
大きな声とともにギルドの扉を開けたのは、長い黒髪を揺らした少女だ。
「アレッタ!いいタイミングだよ!助けて!」
慌てた様子のレビィがアレッタと呼ばれたその少女に駆け寄る。
その手には、なにか文字の書かれた紙を持っている。
「レビィちゃん?どうしたの?」
落ち着いてーと、のんびりとした声音でアレッタは彼女に話す。
「えっとね、実は…」
ギルド内が騒がしい理由はそれだった。
なんでも古代魔法のせいでみんなの体が入れ替わったという。
数名、時間内に魔法を解けず最悪の場合一生戻らない……。
今、ここでレビィ、ルーシィ、グレイとアレッタ以外の全員の一組二人で体が入れ替えるとのこと。
「この魔法なんだ。」
レビィがアレッタに原因の依頼書を渡した。
「んー。時間は、あんまりないんだよね。頑張るよ!」
アレッタは、ゆっくりと唇を動かした。
「フェアリーマジック リーディング」
騒がしかったギルドの中に、ソプラノの澄んだ声が響いた。
なかには、彼女が帰ったことに気づいていない者もいたのだろう。
驚いたその表情を隠せない者がいた。
「あの子は?」
新人のルーシィは彼女のことを知らない。
「アレッタは、どんな魔法使える魔道士だ。まあ、条件だか、なんだかって使えないのもあるとかなんとか」
グレイは、詳しくは知らねえよと肩をすくめた。
「え、それって…」
ルーシィが紡ごうとした言葉は、あのソプラノの声に妨げられた。
「_________」
アレッタの周りを風が舞う。
彼女のつややかな黒髪がふわりと揺れた。