絶賛の唇
□虚構の要求
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会話に脈絡がない。
行動が突発的。
2つのことを同時にできない。
泣き虫、早とちり、寂しがりや。
生きることに不器用な愛しい愛しい君。
あぁ、眠いんだ。
毎晩とりとめもないことを、君はずうっと話しているけれど、
相づちを打つことしかできない眠そうな俺がどんな顔をしているのか、
俺の腕を枕にして脇の下に顔をうずめている君には見えないよね。
重いよ。
愛しているから耐えられるんだ。
でも心配なんだ。
俺以外の愛を知らない君は、俺がそばにいられなくなったときは、ちゃんと他の人を愛することができるのかな。
寂しいよ。
その服もベッドも、カバンも、扉も、君の髪も、俺が揺らすことも動かすことも無理なんだ。
泣くなよ。
何もないって?何も残せなくてごめんね。
急だったからなぁ。
あのビールは開けてくれないか。
君が呑めないのは知っているよ。
少し呑んで、あとはいつものように俺にくれればいいよ。
あぁ、それ。俺がいないと観れないでしよ。
怖いなら、録画は削除しないと。
もう、そばで君を茶化したり、怖がる君と一緒に寝てやれないんだから。
ねぇ、部屋に明かりを灯してくれないか。
そんなところで小さくならないで、歯を磨いて、今夜は早く寝て、明日はどこか遊びに行きなよ。
そうだ、久々にバーに行くのもいい。
あの地下鉄に乗るんだ。
泣き虫の君は涙が溢れて歩けないかな?
大丈夫、俺が背中を押してあの店まで連れて行くよ。
さぁ、おやすみ。
俺の枕は硬いだろ?
君のために柔らかい枕を買っておけばよかったな。
きっと君は俺の腕枕の方がいいって言うんだろうけどね。
そんなに泣かないでおくれ。
俺のお気に入りの枕が台無しだ。
俺の夢を見ない?
当然だろ、そばにいるんだから。
夢の中にいたら、泣き虫な君の心配ができないよ。
俺のシャツ、あぁ、俺の匂いが好きなんだよね。変わり者だな。
いいよ。
俺の匂いがなくなるまで一緒に寝ていいよ。
大丈夫、目を閉じて、君が思っているよりも早く朝は来るよ。
俺の匂いがなくなったら、新しい愛し方を覚えてくれよ。
ー、、、、、、、。
ーあぁ嫌だ。めんどくさい。
『ドンヘ、もうそのドラマ来週から見ないで』
ーすぐ感情移入するのやめてくれよ。
「ヒョク腕枕を、、」『重いよ』
「じゃぁ、そのシャツを、、」『やだよ』
ーちょっと、ソファの足元から何拾ったんだよ
『いま何拾ったの?ちょっと、、ねぇ、それ見せてみ』
「拾ってない」
『ごまかすのよせよ』
「ヒョクの髪の毛拾っただけだよ」
『どれよ?』
「いいよ見なくて」
『ちょっと、、何しまってんの。あっ、ばかっ!そんなもの財布にしまうなよ!』
「思い出に」
『なんの思い出?ドラマに感化されて変なこと考えるなよ!』
ーあ!無視した!
『お前と俺どっちのかわからない髪の毛じゃないものをしまうんじゃないよ!』
「じゃあ、ヒョクの匂いが付いた今着てるそのシャツちょうだい」
『さっき黙って渡しておけばよかった!それしまおうとした後のその欲しがりは ただの変態だよ!』
ー愛しい愛しいドンヘ。
空気が読めなくてムードぶち壊しの愛しい
ドンヘ。
ー無償の愛をくれるから、俺はドンヘの突拍子もないことが許せるんだ。
ーいいよ。
今日も寝るまで話を聞くから、早くベッドに入ろう。
俺の匂いがなくなったら、もう一度、俺が愛し方を教えてやるよ。
ードンヘ、、、それ俺の歯ブラシ。口に加えたら蹴るからな。
…。
…。
「イデっ!!」
END