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□『触れる』
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『触れる』





「……いーなぁ」

「はい?何がですか?」

「いや、ツェッドさんの肌」

「肌?」

「つやつやしてんなぁって」

「つやつや…」


ランディさんにそう言われて、自分の腕を触ってみる

…つやつやとは程遠い触り心地だ


「触ってもいー?」

「はい、どうぞ」


さっき腕を触っていたから、ランディさんも腕を触るだろうと思って、腕を前に出そうとした瞬間
頬に温かい感触がした


「ぅおぉ…すっげぇ。つやつや!」


何が起こったのか分からなかった

前に出そうとした腕は中途半端に止まり、その腕には触られている感覚はなかった

代わりに、僕の頬を優しく撫でる手の感覚


「……!?」

「ぁっ」


思わず身を引いて触られていた頬を手で覆う
ランディさんの手はこちらに伸ばされたままだ


「あっ、いや、その…!」


何か声を出そうとしても言葉が思い付かず、顔が赤くなる


「やだった?」

「ぃ、ぃいいえ!」

「いっつも落ち着いてるツェッドさんがそんな焦って顔赤くしてるって、相当やだったんじゃ…」

「そんなことはっ!!」

「無理言ってごめん」


そう言って、伸ばされたままだったランディさんの手が下げられる


































ガシッ



「へっ?ツェッドさん?」

「あ!すみません!」


無意識にランディさんの手を掴んでしまった


「ぇえっと、ぁの…」

「うん」


焦る僕に、ランディさんは僕が話し出すのを急かさず待ってくれている

息を大きく吸い、思っている言葉をランディさんに言う


「嫌…じゃないので、……どうぞ…」


そう言って掴んでいたランディさんの手を頬に当てる

今の僕はさっきより相当顔が赤くなってるだろう


「いーの?」

「はい」


じゃあ失礼します、と、ランディさんの手が僕の頬を撫でる

やはり触られるのは緊張────


「やっぱつやつやだな!」

「そう、ですか」


……………

ランディさんの笑顔を見たら緊張よりも嬉しさの方が勝った

いつかは僕も、触れていいですか?

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