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□『ときめく』
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「悪いな、手伝ってもらって」

「いいよこれくらい。ランディには毎日のように世話になってるから」


今日はランディの仕事の手伝い
サーカスの皆で買い出しをしていたランディに会った


「今日はどこかで呼び込みするの?」

「んー……どうだっけなぁ。最近は忙しいから呼び込みはしてねーんだ」

「へーそっか。僕も行きたいんだけど、何かと出費が……」


家賃とか仕送りとか…
自分の娯楽に使うならミシェーラの仕送りを増やしてやりたい

前に自分のために金使って酷い目にあったからなぁ…


「あ、金ならいらねぇ。ほら」

「これは?」


ランディから渡されたのは2枚の紙

何かのチケットみたいだけど…
よく見るとランディが所属してるサーカスの名前と公演の日程が書いてあった


「団長が少年にって」

「えぇ!?何で僕なんかに…」

「ほら、俺の手伝いとかしてくれるから、団長からの給料。金で払うよりこっちのが受け取りやすいだろ?」

「だからって……てかこれ倍率高いでしょ!vip席って!」


1枚何ゼーロすんだ!!?

ランディたちのサーカスは世界中でも有名だ
あちこちのセレブがこのチケットを手に入れようと大枚を叩くのに…

しかも2枚

……2枚?


「なんで2枚も…」

「妹さんがいるだろ?2人で見に来いよ」

「ミシェーラも?」

「あぁ。その公演、妹さんがいる場所の近くで開くんだ。vip席なら車椅子でも周りを気にしないでゆっくりできるだろ?」

「そうだけど……ミシェーラは目が…」


ランディには申し訳ないけど、ここは断って……


「そんなん知ってる。見えないんだったっけ?」

「じゃあ何で…」

「少年が見せてやればいい」

「僕が?」

「そ。ほら、すげー目を持ってんだ。妹さんに少年が見てる光景を見せてやればいいじゃん?」

「、僕がミシェーラに…」


そっか

ランディがvip席をわざわざ用意してくれたんだ!

車椅子のミシェーラに、僕が義眼を使えば周りにも影響があるから、それを全部見通して……


「ありがとう、ランディ」

「いーえ、どういたしまして」


僕の頭をわしゃわしゃと撫でながら無邪気で人懐っこい笑顔のランディに、思わずときめいた僕は悪くない

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