守られたくない姫

□1話
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「なにこれ…。」
海は目の前の現状に唖然しながら言葉をこぼす。目の前には見事にセットが崩れている現状だ。流の話によると途中まで完璧だったが、ネジのしまりが悪かったらしく崩れてしまったらしい…。怪我人がいなかったのが不幸中の幸いだ。

海は考えた…。
まだ時間はある、協力すれば行けるはず。それに撮影を伸ばすのは一番やってはいけないこと。
流もおんなじ事考えてたらしくアイコンタクトをとり手を叩いた。

「すみませんがセッティングもう一度!」
「ご協力お願いします!!」

空崎兄妹は絶対に失敗しない人。
それを知っているスタッフ達は笑いながらもちろんと答えた。

海もワイシャツをめくり髪を結び作業に移った。小物は女性陣に任せて海はネジとか重い荷物を運びだす。高いところは腕力と脚力でのぼる普通の女性には出来ない力技だ、いや成人男性も出来ないか。流も指揮をとりながら配慮もちゃんとしている。

「おい、新人手止まってるぞ」
「あっすんません。」
「まぁ気持ちはわかるがな、海さん見てたんだろ?」
「はい、すごいっすね噂通り…。」
「まぁな、鍛え方が尋常じゃないらしいさすが空崎流の妹だ(汗)」
「本当っすね、」

空崎流
うでは一流だが無理難題を淡々と押し付ける。反感は買うが撮る写真はCGを使ってはないのかと疑うぐらい繊細な出来だ。そして無理難題はいつしかアシスタントの妹がやることになった。
「よし、やるぞ!」
「うっす!」

うん、こっちは終わりと。
あとは…。
海は下に降りて考えていると、女性スタッフが寄ってきた。
「海ちゃん、これはこうでいいんですか?」
「はい、大丈夫ですよ。
あっそこ足場が…。」
「えっ?
きゃっ!!」
女性スタッフが足を崩して倒れそうなところを海が素早く動きスタッフの肩を抱き抱えて姫様抱っこみたいな形になった。
「あっ、あの…。」
スタッフは海を見上げたら。
海は微笑み。
「綺麗な脚に傷ついたらダメでしょ?
気を付けてね?」
「はっはい////」
スタッフは顔真っ赤にしている。
海はわからないような形でまた作業に移った。

そう、彼女にはもうひとつ噂がある。
それは同性にモテることだ。まずルックスがイケメン。可愛いよりではなく美人寄り。そして、背も平均女性より高い。性格も気づかい人良しこれで男だったらモテてることだ。

いや、女でもモテていたか。



「皆様の協力で終わりました!」
「お疲れさまでした!!」

海と流の掛け声でセッティングが終わった。スタッフ達はぞろぞろと宿に戻っていく。モデル達は高級ホテルだがスタッフ達は普通の宿に泊まるのが基本だ。まぁファンとかがやってきて盗まれたら大変だろうからな…。私はしませんよ。←

がらっ
「あっお疲れさま〜手軽におにぎりとか作っときました〜」
「飯じゃ〜!!」
「心咲!」
流は驚いた風に声をかけた。
心咲と呼ばれた女性は振り向き一目散に海に向かっていく。
「うみちゃ〜ん!!会いたかった〜!」「ギャー!」
「やめんか。」

海は流の後ろに隠れ身を潜めた。
そう心咲は流の彼女でありよく撮影が一緒になるメイクさんだ。
心咲は海を溺愛しており初めて会ったときはすごかったなとしみじみ思っていた。





今日も一日が平和に過ごしていく。
それが、当たり前で大切な日々。
海はダイヤの形がした指輪を握り、用意されたご飯を食べに向かった。
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