お話
□クロックワーカー王国と白の国
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目を覚ました男は軽い食事をとりながら女とレイラから事情を聞き、レイラは男女に質問を投げかけました
彼らにとってレイラの話はにわかに信じがたいものばかりでした
なぜなら、彼らが生まれ育った場所には魔導師なんて誰1人いなかったからです
困ったレイラは少しだけ魔術を見せることにしました
火柱をたて、風を走らせ、水を踊らせ…その様子は、どんな劇の一幕よりも躍動感があり、どんな宝飾品よりも魅惑的にみえたのでした
人知を超える術を見た彼らは額づき、非礼を詫びますが、レイラは更に困ってしまいました
魔導師と信じてくれるだけでかまわなかったのに…と
そんなレイラをよそに男女は額づいたまま言いました
「レイラ様を信仰させてください、レイラ様のために働きたいのです」
レイラはつい数分前の自分の行動を少し後悔しましたがもうどうしようもありませんし、どうする気もありませんでした
別に信仰されるのも悪いもんじゃないし、いいか…という気持ちのほうが強かったのです