小ネタ
□第1部
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3.王子の日常
時系列はクレタ女装事件の後くらい
今日もぽかぽかいい天気。
玉座に座るのはまだ先の話だけれど、夢見ずにはいられない。
廊下を歩く僕の隣には今日もネーヴェがいる。
サヨとお茶をしてきたばかりだそうで、街ではなにがあっただの、今日の晩御飯が楽しみだの、たわいもない話をしている。
「かわいいね。」
そうやって砂糖菓子を楽しむように言うと、いつも君は顔を真っ赤にして照れるんだ。
「とってもとっても、かわいい。」
甘い甘いジェラートに、白い白い砂糖をかけるように。
かわいいかわいい君に、僕はそんな言葉をかけるんだ。
「ネーヴェ、僕は君を…。」
すぅ、と息を吸って。
「ずっと、愛s「うわぁぁぁぁぁぁぁぁマーレ様ネーヴェ様ご無礼をお許しくださいいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」「クレター!まちなさーい!!!」「そうだそうだ!王族の言うことが聞けないのかぁ!!!」「ぎゃあああああああああああぁぁぁ!!!」えっちょっと待って嘘でしょタイミングえぇぇ…。」
廊下で話していたことが災いしたのか。
なぜかクレタがペイル義兄さんとノエル義兄さんに追いかけられていた。それにしてもタイミングが悪すぎる。
「また追いかけっこしてる…。それにしても義兄さん達はなんでクレタを追いかけ回しているんだい…?ここ最近特にひどいじゃないか。」
「あ…あれは、その…。」
「クレタも可哀想に。身体、特に足腰を壊さないといいんだけど…。」
「んっふ、それはクレタがじょそ…。んっ、なんでもないわ!そ、そうね!そうよね!身体、壊さないといいわね!」
「…?」
ネーヴェがにやにやしているようにみえるのは…気のせいかな?
「(まぁ、ネーヴェが笑っているのなら、僕はなんでもいいんだ。)」
君が幸せでいるのなら、僕はどうなっても構わないさ。
「あの。マーレ…?」
「ん、なんだい?」
「あの、さっき言いかけてたこと、その。」
「えっ…あ、ああ。あれは…。」
「そんなに毎日言わなくても、わかってるからね?」
「え?大事なことは毎日言わなきゃって…。」
「それはそうだけど!」
「本当は国中に放送いれたいくらい…。」
「あーもう、わかったわかったわかったから!放送はやめて!?」
「へへ。ネーヴェに言われちゃしょうがないね。」
「まったくもー。」
毎日毎日こんな風に暮らしていけたら、きっと幸せなんだろうな。
「(いや、そうしてみせるさ。)」
国民も、王族も、みんながみんな幸せに、笑って暮らせる国。
「(できる、できるさ。だって僕には。)」
ネーヴェがいるから。
…
…
…
「…あら、ネーヴェ様とマーレ様…。また廊下で仲良さげにしていらっしゃるわ。ふふ。私、嬉しい。ねぇ、クレタもそうでしょう?」
「っはぁ、ぜぇ…。微笑ましいのは賛同するけど…毎日毎日廊下であのイチャイチャを見させられるこっちの気持ちにもなってほしいというか…。」
「???…クレタ、おふたりが仲良しなのは嫌なの?心がしんどいの?」
「いや、そうではなく…!」
「あ…クレタ。ネーヴェ様にはもうマーレ様という素晴らしいお方がいらっしゃるのよ?横取りは…。」
「ち、違うううぅぅうううう!!!誤解、誤解だサヨ!」
「?…そう?あと、あまり大声出すと匿ってる意味が…。」
「クレタあああぁぁぁ!!!そこかぁ!!!」
「声が!声が聞こえたわよクレタ!!!今ならフリフリのミニスカとかわいいカチューシャで許して…あげないから、出てきなさい!!!」
「げっ!?」
「(許してあげないの…!?逆に見たいわ…!)」
「い、嫌だあああぁぁぁ!!!」
どったんばったん。
王宮ではこれが日常です。