クレイドル
□世界で1番幸福な朝
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朝日が差し込む
瞼の向こうから朝の訪れが告げられ、ゆっくりと目を開ける
「っ、」
毎朝のことだけど、朝に目が覚めて1番に見るのがこの世で最も美しい人なのはなかなか慣れるものではない
「…アリス」
「おはようございます、ランスロット様」
「あぁ」
寝起きでやや掠れた声で呼ばれ、優しく頬を撫でられる
あぁ、毎朝こんなに幸せに包まれていいのだろうか…
朝目覚めるたびに、自分の本当の世界を捨ててまで愛すと誓った愛しい人を感じられるだなんて…
「、どうかしたか?」
「いえ、幸せだなって思ってたんです」
「?」
意味がわからない、というようにランスロット様は私の髪を撫でる
この方は、自身の存在だけで人を幸せにできているんだって気づいてないのかな?
「毎朝、目が覚めて1番先にランスロット様に会えて、こうして愛されていることを感じられて…私は世界で1番幸せ者です」
朝から恥ずかしいこと言っちゃったかな?とか思いながらランスロット様をみる
「お前は…」
ランスロット様は 息をつき、私を改めて見つめた
深い瞳に穏やかな光が宿る
「全く、困ったな
お前は自分の存在がどれほどの価値があるのか、理解していない…
俺はお前がこの手の届くところにいるだけで、言いようのない幸福を感じているのだぞ?」
朝日よりずっと穏やかな眼差しが私だけを見つめる
あぁ、もう、本当にどうしようもないくらい貴方が好き
「私も、全く同じことを思っていました
私もランスロット様がいてくださってるだけで、それだけで幸せです」
でも、それは私だけじゃないから…
ランスロット様がただ存在するだけで幸せを感じてるのはこの軍全員が思っていること
ランスロット様はたくさんの人に必要とされている
それが少しだけ寂しいときもあるけど、私が愛してる人がたくさんの人から愛されていることは誇りに思う
「お前は、考えていることが全て手に取るようにわかるな
どんなに多くの民や部下に敬愛されようとも、俺の心がお前だけに向いていることに変わりはない」
「!」
「愛している、キョーカ」
「私も、愛してます!」
私たちは毎朝、愛を囁く
愛しい人に愛しいと言えることがどれだけ幸福なことかを私たちは知っているから
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