綾薙学園

□王子様
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今日もキラキラ笑顔の「姫先輩」は女の子に囲まれている
っていうか、男なのに「姫」ってあだ名が似合う時点でどうかしてると思うの




「どうしたの?ご機嫌斜めみたいだけど?お姫様」

「『姫先輩』の方が私よりよっぽどお姫様っぽいかと」




琉唯は何も悪くないのに、性格も可愛くない私はそんな憎まれ口を叩いてしまう
でも琉唯は海よりも空よりも広い心を持っているからそんな私を丸ごと受け入れてくれる




「ふふ、そんなことないよ
俺のお姫様は、紅だけだよ」




心が広いのか、嫌味が通じないのか、琉唯の心があまりに澄み切っているのかわからないけど、みんなに向けるよりずっと美しい微笑みが私にだけ向けられる




「琉唯はみんなのお姫様だもんね…」




ぽつりとこぼれた言葉は、嫌味なんかじゃなくて私の心の雫
私は琉唯のことが大好きだから、他の人になんて興味ないから、
でも、琉唯は?私より可愛い人、キレイな人、もっと琉唯にふさわしい人はたくさんいる
私がどんなに貴方だけのお姫様でいようとも、琉唯は私だけの琉唯じゃない




「んー、そうだね
確かに みんなから姫先輩なんて呼ばれてる以上 みんなのものって考えも仕方ないよね
でも、俺は紅だけの王子様でいたいな?…なんてね」




ハニカミながらそう言う琉唯は、卑怯なくらい眩しい




「っ!!」

「照れた顔も可愛いよ、たまには恥ずかしい言葉も言ってみるものだね」




お姫様みたいにキレイな私だけの王子様が笑う
他の人には見せないこの艶のある笑みを、今のところ私だけに向けてくれているから、「お姫様」な琉唯はみんなにもわけてあげる
でも、「王子様」の琉唯は誰にもあげない




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