夢小説
□お前が俺の事を好きじゃなくとも俺はお前が好きだ。
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あの決死の告白からだいぶ経った。
『あ、あの……こ、答えは今度でも良いですか?』
あの言葉を聞いてちょっとでも期待して良いんだなと思っていたが、俺がバカだったようだ。
答えはノーなんだろう……。
だが、オクトーバーに限って答えないなんて事はなさそうなイメージがあるが……
俺はマスターの玉座の水槽の中で考えていた。
水中は誰にも邪魔されない俺だけの空間。
そんな空間をぶち壊す糸の先に付いたミルワームが上下に動く。
「っ……」
俺はすぐに浮上してそのバカな事をしている人物に怒鳴り散らす。
「邪魔すんなぁ!!!!」
「おっ!そんな怒んなよ!ゼバー!」
バカな事をしていたガゼットが笑いながらこちらを見ている。
てか、お前のせいで答えを聞き損ねたんだかんな!!!
「なんなんだよ!!お前!!!」
「こえー顔すんなよ。てか、オクトーバーから答え振ってくるの待ってるわけじゃーねぇーだろうなぁ??」
「っ……」
勘が鋭いと言うか……だから、コイツの事が嫌いなんだよ。
振ってくるのを期待してた俺にガゼットは頬杖ついてオレに向かってこう言ってきた。
「振ってくるのを待つな!逆にぐいぐい押してやれ!」
恋愛は無縁だった俺にアドバイスしてくるガゼットに正直、助かっている。
こうすればオクトーバーの性格上うまく行くぞだとか獲物を狙いにいく目で話をしてくる。
「ふ、ふーん。」
だが、俺は真に受けない素振りをとる。
真面目に聞いてたらクリスに笑われるしマスターに見られるのもまずい。
「じゃ、答えを聞き行くか!!」
「はあ!?」
勝手にひょいひょい進めていくガゼットに腕を引っ張られながら俺は夜、外出させられた。
+++
ビルの屋上で俺とガゼットの二人っきり。
ガゼットは回りを見渡している。
「オクトーバーが外出してるのかよ?」
「まぁまぁ、期待して待ってろよ。そろそろここを通過するはずだ」
コイツ、怖すぎる。
どこからそんな情報を入手するんだよ。
まさか見張っているわけじゃねぇよな??
「ゼバー、俺は遠くから見守ってやるからなぁ」
その場から居なくなるガゼット……
本当にここを通過するのかよ……
と思っていると本当にオクトーバーがこのビルの屋上を通った。
俺の顔を見てあわてふためいている。
パッと見てオクトーバーはどうやら買い出しに出ていた見てえだ。
袋の中身はアイスらしい……
『あっ……ゼバー、さん……』
あ〜くずぐって……
「……この間の答えをワザワザ聞きに来てやった」
『あっ……えっと……』
いつも通りあわあわしていやがる。
これはこれで面白いから俺は黙っておく。
いつもだったらついつい何か言ったりとかしちまうが今回はニヤニヤしながらみてやる。
それに答えは分かってる。
『……ま、待たせてしまいましてすみません。その、ごめんなさい!』
だと思った。
悪党の俺は残念がらないつもりで居たが見た目には出さずに心の中じゃショックで仕方がねぇ。
でも、諦め切れない。
「お前が俺の事が好きじゃなくとも俺はお前が好きだ!」
『っ……』
らしくない言葉で言った俺だったがオクトーバーは困った表情を見せながら頬を赤くしてらぁ。
敵じゃなかったら見込み合ったんだろうか。
「俺は……諦めねぇからな?」
『Σへっ!?』
意外だったらしく驚いた顔して俺を見てくる。
魚に言われて嬉しくねぇだろうけど。
「いつか俺の女にしてやるから覚悟しておけ」
『っ……///……そ、そんな、言葉でせ、攻めないで下さい。』
「あっ?」
言われてみりゃそうだった。
コイツの性格上じゃ言い返したりしないし……
ここで思い出すガゼットが言っていた言葉をぐいぐい押してやれって言ってたな。
「じゃ、どんな言葉攻めが好きだ?」
屋上の一角にある壁にまでオクトーバーを追い詰める。
俺と壁に挟まれて困っているコイツが恋しい
「それとも別の攻めが好きか?」
『ぜ、ゼバーさん……あの、ち、近いです。』
「ん?聞こえねぇな?」
頬を片手で包み親指で少し撫でるとオクトーバーの肩が跳ね上がる。
顔を近付けると手裏剣が俺に飛んでくる。
それを簡単に避けるとそこにはラファエロの姿があった。
「ゼバー!!!!!お前!!!」
「なんだ?ガキは家帰って寝てろ!」
俺とラファエロが戦ってるとオクトーバーが困ってるがフットが遅れて現れた。
どうやらガゼットの差し金みたいだ。
で、あの野郎!!!ただ手を振ってこっち見ているだけじゃねぇか!!!!!
「オクトーバー!逃げぞ!」
『はっ、はい!!』
ラファエロとオクトーバーが尻尾を撒けて逃げちまった。
ただ、俺の恋はまだ終わらなさそうで安心した。
終わり
オマケ→