夢小説

□見分け方(ニック亀)
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スペースヒーローズを見終わったレオナルドはオクトーバーを見る。
今までに感じた事がない背筋が凍り付くような感覚に襲われた。

レオナルドは微笑んでいる。

「オクトーバー大丈夫か?」

『だ、大丈夫です。』

返事をするとレオナルドは広間から立ち去った。
オクトーバーの様子にラファエロは首をかしげる。

何がどうしたか分からなかったからだ。


凍り付いていたオクトーバーはレオナルドを追いかけようと広間から出ようとした時だった。
レオナルドが広間に再び現れた。

「うわっ!オクトーバーどうしたんだ?」

『レオ、ナルドさん…』

驚いた表情でこちらを見ているレオナルドにオクトーバーは何を言うべきか分からず名前を呼ぶことしか出来なかった。
違和感を感じたラファエロは無愛想に言い放つ。

「あっ?レオお前ついさっき出ていったばかりだろうが!」

「えっ?オレはスプリンター先生と話をしてたぞ?」

ん?とラファエロが首をかしげる。
噛み合わないため戸惑う。

「ここでスペースヒーローズ見てたじゃんかよ」

「いや、見てない」

「はぁあ??!」

二人のやり取りを見てオクトーバーは広間から出ていった。
不思議そうにレオナルドはオクトーバーを目で追っていた。



探し回ったが謎のレオナルドは見かけなかった。
広間に戻るとレオナルドが一方的に三人に言葉で攻められていた。

「レーオー!酷いよ!僕のゲームのデータを消すなんて!!」

「レオ!ボクのパソコン意地って壊したでしょう!?」

「レオ!テメェ!スパイクにイタズラするたぁどんな魂胆だ!」

何がなんだか分かっていないレオナルドは「知らないし!皆どうしちゃったんだよ!?」と言うが聞く耳を持たない三人に遠くから見ていたオクトーバーは慌てて間に割って入った。

『あ、あの…れ、レオナルドさんは悪くないです!』

「ああっ??オクトーバー…お前、マジで言ってんのか?」

『根拠がなくってごめんなさい!!…あの、言い争わないで下さい…』

ラファエロの刺々しい言葉に動じるもののすぐに頭を下げ全員に聞こえるぐらいの声で謝った。
何度も謝ることがあったオクトーバーであったが、ここまで声を張り上げた事はない。

三人は驚いた表情を見せ同時に大きなため息を付いた。

「分かったよ…ごめんね。オクトーバー」

「ごめんよぉ〜」

「悪かったよ。」

皆、一言残して去っていった。
なんとか言い争いを回避したオクトーバーは胸を撫で下ろした。

「オクトーバー…ありがとう。その、庇ってくれて…」

『いいえ…』

後ろに立っていたレオナルドは戸惑いながらも礼を言った。
全く状況を把握していないため三人の怒りを向けられ続けられる一方だった。

「なぁ、オクトーバー…君は何か知っているのか?」

『あっ、いいえ…何も』

知らなくはないがそれが本当なのかと言われるとはっきりと答える事が出来ないため言う事は出来なかった。
首を傾げこちらを見る。

その向けられた目にオクトーバーは頭を下げてレオナルドの前から立ち去った。





一人下水のコンクリート道を歩く。
一度見た謎のレオナルドはなんだったのか考える。

ただ、未だに洗脳されていた時の後遺症の幻覚が残っているため自信をもって言えなかった。
もしかしたら幻覚だったのかもしれないと考えてしまう。

『私が…おかしいのでしょう』

トボトボと歩いていると前から誰かがこちらに向かってくる。
歩く足を止めて相手を見るとレオナルドであった。

涼しげな表情でこちらに近付いてくるがオクトーバーは背筋が凍り付いたのをまた感じた。
凍り付くが本能的に一歩また一歩引き下がる。

「どうしたんだ?オクトーバー?」

『…あの、レオナルド、さんじゃないですよね?』

一緒に居るレオナルドからは感じない不振な気配に脅える。
目の前のレオナルドは微笑むだけ。

「なんでそう思うのかな?オレはレオナルドだよ?」

『ち、違います。レオナルドさんは…そんなに、つ、冷たくありません!!』

言葉を言い切った同時に刀がオクトーバーの頬をすれすれに壁に刺さった。
すれすれだと思ったがうっすらと頬から血が流れる。
多少切れたにせよ微量の電流を感じる。

「オレはレオナルドだよ。何度も言わせないでくれよ。」

壁に刺さった刀に気をとられている間に偽レオナルドは詰め寄りオクトーバーを壁に押し付ける。
少々強引に手首を押さえ頬の切り口から流れる微量の血を舐めとる。

「ん〜、美味しい……」

『…っ』

「ねぇ、オクトーバー…教えてよ…君の事…」

詰め寄られて動けないオクトーバーは強く目を瞑るが偽レオナルドはまた切り口から流れる微量の血を舐める。

オクトーバーには見えていないが偽レオナルドは笑っている。

「フフッ…君は本当に可愛い…」

じっくりオクトーバーの表情を見ようとしていると手裏剣が飛んできた。
偽レオナルドはスライム状の触手で手裏剣を受け止める。

「動くな!変態野郎!…あっ、オレの姿してるし変態は、なぁ…えっと!この偽物野郎!!」

レオナルドが刀を構え偽レオナルドの前に現れる。
さすがに自分の姿に変な事を言うのもなんだったのか訂正しつつ戦闘体制入る。

「フフフフッ…ダサいなぁ…」

「ダサくない!オクトーバーから離れろ!」

レオナルドの声を聞いてオクトーバーは本物のレオナルドを見て自然と安心した。
目の前に偽レオナルドが居るのに視界に入っただけで安心感を覚えた。

「嫌だね!!」

スライムの触手がレオナルドに向かって飛んでくる。

「でぇえいや!!」

「ぐっ!」

レオナルドは刀でスライムを切り裂き一気に偽レオナルドに詰め寄り右足で蹴りあげオクトーバーに近付く。
優しく肩に手を置き顔を覗き込む

「オクトーバー!大丈夫か?」

『レオ、ナルドさん…』

「あ〜…えっと、無事で良かった。」

オクトーバーの顔を見て初めてしっかりと目が合い逆に目を泳がすレオナルド。
偽レオナルドは触手でレオナルドを捕まえ振り回す。

「うわぁぁぁぁ!!?」

『レオナルドさん!』

「格好悪いよ!」

そう偽レオナルドが言うと同時にコンクリートに叩き付けた。
叩き付けられたレオナルドは頭を抱えて立ち上がる。

「まだやるか?」

「まだ、やるとも…オクトーバーに嫌な思いとかさせる訳には行かない!!」

『…っ』

いつも避けてしまったり迷惑をかけてしまっているのに一生懸命で優しいレオナルドの言葉にオクトーバーは泣きそうな表情を浮かべる。
二人の表情を見て面白くもなさそうな目を見せる。

「冗談もやすみやすみにしてほしいね。」

触手をレオナルドのみに向けるとその触手を掴み偽レオナルドを水の中に引っ張り込む。
何をするかすぐに察した偽レオナルドは焦りを見せる。

「気付いたか?お前、水はダメなんだろう?」

みるみる水の中に浸かると原型をとどめる事が出来なくなり偽レオナルドは水の底へと消えた。
底へと消えたのを確認するとレオナルドはオクトーバーの目の前に立つ。

「帰ろう…」

『はっ、はい。』

手を差し出されたオクトーバーはレオナルドの手をとり歩む。
気になることがいくつかあるオクトーバーは思いきって聞いてみた。

『れ、レオナルドさん…どうして…スライムが水がダメだと…?』

「ああっ、それはドナに聞いたんだ。」

苦笑いしながら話をしてくれた。
ドナテロが採取したスライムの成分を調べてるとレオナルドの皮膚を取り込みレオナルドに変異しているのが分かった。
この世にレオナルドが二人になってしまうとさすがにドナテロは焦っていた。

まだ、初期段階のため身体は完璧じゃないと察し水を大量に含ませれば溶けてなくなると言われたらしい。

「ほーんと、びっくりだよな。」

『そうだったんですか…』

「…オクトーバーのお陰で助かったよ。皆、君には優しいし考え直してくれるし」

普段、中々話す機会がないオクトーバーに助けられた。
兄弟だから大丈夫だろうと思っても生きている以上は感情を抑えられない時もある。
そんな中、慌てつつもなんとか場を落ち着かせないと言う誠意を感じた。
最初の彼女であればあり得なかったが徐々に変わりつつある。

『そんな、私は…レオナルドさんが責められてるのを見たくなくって…』

「だとしても、本当にありがとう。疑われたままになる所だった。」

優しく微笑むレオナルドの姿にオクトーバーもぎこちなく微笑む。
微笑み返されたレオナルドは照れ臭そうに困った表情を見せる。

そして感じる、心の底から熱が混み上がってくる事に。

「あ〜、えっと…なんで見分けがついたんだ?」

『えっ?…ぁっ…レオナルド、さんは……正義感が強くって誰よりも真面目だと思っていた、ので……冷たい、雰囲気…なんて出さないって…』

「あ、あ〜…な、なんか照れるな…」

見分け方を聞いたはずがオクトーバーはそう返答した。
ようは雰囲気が明らかに違っていたみたいだが、三人は一切気づかなかったようだ。

オクトーバーから見たレオナルドの性格、目の前に居る本人は逆に恥ずかしくなる。
回りにはちょくちょく言われるが彼女に言われた事はなく今回が初めてだ。

『はっ!…す、すみません…』

「い、いいや!謝る事じゃないさ!」

互いに慌てる。
今までなかった二人っきりの空気にレオナルドは考えるが頭が真っ白になってきた。

『レオナルド、さん?』

オクトーバーが名前を呼ぶだけでドキッとする。
振り向けばキョトンとしているオクトーバーの姿に顔がみるみる熱を持つのを感じる。

そして、今気付く。
オクトーバーの頬に切り傷がある事に。
レオナルドは慌てて切り傷がある頬を見る。

「オクトーバー!頬に切り傷が!」

『あっ、だ、大丈夫です…』

「す、すまない。全然気付いてなくって…」

いろんな感情がごちゃ混ぜになっていたためか全く気づいていなかった。
オクトーバーとの距離を今自覚する。

すぐ目の前に顔があってキス出来る距離。

「……」

今までにない距離にレオナルドは衝動を抑えきれなくなりオクトーバーにキスをする。
急な出来事に肩をビクッと無意識に動く。

『っ…』

「…んっ」

壁にオクトーバーを押し付けて長いキスをすると舌を口内に侵入させて舌を絡ませる。

いやらしい音だけが下水に響くが流れている水にかき消される。

「…っ………ぁっ」

レオナルドはキスをやめると我に帰り恥ずかしさが爆発した。

「オクトーバー!!!は、早く帰ろうか!!!!」

『はっ、ははははっ、はい!!!!』

お互いに駆け足で帰るのであった。


終わり。


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