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□孤独だった頃の傷跡
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「むぉ!?」
「身体さっさと拭きなさい。風邪ひくだろコノヤロー」
憎まれ口を叩きつつ、少し乱暴に神楽の髪を拭く。
「…うん。ありがとネ、銀ちゃん」
「別にー。まったく、世話のかかるガキだぜ」
「私の事心配して、玄関で待っててくれたんでしょ?」
「!!」
「わっかりやすい奴アルなー。そんなに私好きか」
「ばっ!だからあれは瞑想だって言ってんだろ!?勘違いすんなマセガキ!」
「はいはい、わかりましたヨー」
神楽の軽いあしらいに眉をひそめつつ、銀時は神楽を後ろから抱きしめた。
銀時の行動に神楽は目を見開き、真っ赤になる。
「ぎっ銀ちゃん!?ぬ、ぬぬ濡れちゃうアルよ!」
さっきの余裕の態度とは打って変わって慌てふためく神楽を見て、銀時は安心したかのように笑う。
「いーんだよ。それより、まだ聞いてない言葉があるんですけど」
「え?」
「家に帰ってきたらなんて言うのかな?神楽ちゃん」
相変わらずのガキ扱いにむっと膨れつつ、その言葉を忘れていたことを思い出す。
私が孤独だったときの傷はなくならないけど、ここにいることで少しずつ薄くなっていると嬉しい。
抱きしめてくれている大きな手の中で、今の幸せを噛みしめるように言葉を紡いだ。
「ただいまアル」
「…おかえり」
END...
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