マクロスF部屋

□ファーストキス
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「アルトくん、どうしたの??」


アルトの様子がおかしい事に気づき、ランカは心配そうに声を掛ける。



距離を縮め、顔を覗き込むとアルトはその分、いやそれ以上の距離を置くため勢いよくランカから離れた。




「…アルトくん?」


自分から勢いよく離れられたショックとアルトを案じる気持ちで、声がかすれ泣きそうになる。



ランカの声で様子に気づいたアルトは、急いで顔を上げて彼女を見た。




すると予想した通り、ランカは目を潤ませワンピースを握り締めていた。



「っランカ!違うっ、俺は……」


何が違うんだ、と自分で自分に突っ込みを入れながらも、アルトは必死に言葉を続けた。




「お前が、綺麗、に、なってくから…」


「ぇ…?」



ランカはアルトの言葉を理解するのに時間が掛かった。




「へ、ぇ、えぇ!??」


「変な声出すな…」


「だっ…てっ」


「…耳まで、真っ赤だぞ」


「あっ、アルトくんこそ!」


「……」


「……」





「あ、の」


「!」


「きれい、って、言ってくれて…ありがとう」



本日2度目の感謝の言葉。

再び笑ったランカにつられて、今度はアルトも笑った。




「今日は感謝されっぱなしだな」


「今日だけじゃないよ!アルトくんにはいつもお世話になっちゃってるもん」


「そうか?」


「うんっ!」



頬を染めて頷くランカに、アルトは愛しさがこみ上げると共に意地悪な気持ちが生まれた。



「じゃ、何か褒美くれよ」


アルトが何か含んだ笑みを浮かべて言う。



ランカはその笑みを不思議に思ったが、アルトの申し出を快く受けることにした。




「いいよ!何がい…」


ランカが発しようとした言葉は、彼女の中に戻ってしまった。





アルトがランカの唇を自分のそれで塞いでいるから。



シェリルとのキスより、映画のシーンでのキスより長い、甘いキス。





アルトは唇を離すと、即座に立ち上がった。


ランカは驚いて言葉が出せずにいる。





「俺から、したいと思ってしたキ、スは!今のが初めてだからな!」


ぶっきらぼうに言い放ち、海の波打つ方へ歩いて行く。



彼が言いたいのはきっと、これが本当のファーストキスだということ。



映画のシーンでもなく、相手からされたのでなく、アルトの気持ちが篭もった初めてのキス。





それを自分にしてくれたことが、何よりも嬉しい。





ランカは嬉しさでいっぱいになった気持ちを、アルトの背中に抱きつく事で彼に伝えた。





☆あとがき

純粋に言えばファーストキスは(たぶん、いや確実に)シェリルなんだけれども。
アルラン好きーな私としては悔しかったのですw(笑)

今回で結構成長したランカ。
アルトにはその変化に気付いてほしいなーと思って。

どんどん綺麗になってくランカにときめきつつ焦りを覚えるといいよ!!(悶)
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