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□すぐにふっとうしてしまう
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ヘタレな男の子10trial

1.すぐにふっとうしてしまう



「で?小夜はバレンタイン、誰にあげるか決めた!?」


いつもの帰り道。

隣で歩いていたかおりが、立ち止まって唐突に口を開いた。


「え?何?いきなり。」


「何?じゃないよー!今日だよ?バレンタイン!」


「・・・あぁ・・・・」


「もう〜!なんでそうやる気ないかなぁ?」


「別に・・・そんなこと・・・・・」


「で!どうするの?」


「・・・とりあえず、お父さんとリクに・・・・・」


「それはわかってるよー!・・・・あれ?お兄さんには?」


「えっ・・・あっ・・・あげるよっ!」


「・・・ふーん」


あやしいと言って返すかおりに、普通だよと言って歩き出した。


実はその「お兄さん」が私の悩みの種であり、好きな人。

実はもう、好きな人、もといカイにはチョコを作った。
もちろん、お父さんとリクにも。


今まで、2月14日になると、ごく普通に渡していたチョコレート。

今年のは、いつもとはわけが違う。

『好きな人』に渡すわけだから、心情的に全然違うのだ。


(どうしよう・・・)


かおりと別れ、とぼとぼ家路につく。

はぁと小さなため息を吐いて、家のドアを開けた。


「ただいまー。」


「お!おかえり、小夜。」


「ただいま、お父さん。」


「・・・小夜、お前元気ないぞ?どうした?」


「そんなことないよ!大丈夫・・・」


「もしかして・・・恋の悩みか?」


「え!?」


目を見開いて、驚いた顔をする小夜。


「ははは。わかりやすいな、小夜は。」


「なっ・・・お父さん、なんで・・・・・」


「最近のお前を見てればわかるさ。それに、これでも父親だぞ?」


「うん・・・そうだね・・・・」


お父さんの笑顔に、私も自然と笑顔になる。


「まぁ、誰を好きになろうがお前の自由だ。・・・な?」


「・・・・・ありがとうっ・・・///」


お父さんには、すべてお見通しのようだ。
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