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□タイミングが悪い奴
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付き合い始めてから、まだ一回も言ってない『好き』の言葉。



「…剣司、あのさ…」


「どうした、咲良?」



剣司の部屋で二人きり。

ムードはないかもしれないけど、今日言うって決めてきたんだから!



「あのねっ…」


「どうしたんだよ〜?」


いつもと違う様子の私に気づいたのか、頑張っていつものように振る舞おうとする剣司。

大人しい私なんて、私らしくない。


でも、小さなことでも気づいてくれて、優しい剣司が好きだから。

いつもあなたが私にくれる言葉を、私からも伝えたい



「………す」


「咲良!!」


「えぇ!?」


私まだ何も言ってないわよ!?


「このクッキーうまい!」


「………は?」


「咲良って料理上手だよなぁ!うん!うまい!」


確かにそれは私が作ったクッキーだけど…
でもそれは、あの言葉を言うためのカモフラージュであって。


「咲良食わないの?俺が全部食っちゃうぜ?」


口の周りにいっぱいクッキーの食べかすついてる…

頑張って、勇気出して

『好き』って言おうって決めたのに……


「ばか!!」


「えぇえ〜!?なんで!?」



end...

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