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□バースディケーキ
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「これ、さくらにやるよ!」
「ケーキ…けんじがつくったの?」
「うん!きょうはさくらのたんじょうびだろ?だから、かあちゃんにおしえてもらいながらがんばってつくったんだ!」
「すごーい!ありがとう!」
*******
「…ん……」
懐かしい、夢を見た。
私が5歳の時の誕生日。
私のために剣司が作ってくれた、歪な形のバースディケーキ。
「…懐かしいな」
剣司とは昔からずっと一緒だった。
いつも一緒に遊んで、笑って泣いて。
15歳になった今でも、それは変わらなくて。
フェストゥムとの戦いで同化現象を起こし、体がうまく動かない私は、未だにアルヴィスの医務室のベッドの上。
今年の誕生日は、ここで迎えることになりそうだ。
「咲良ー!!」
バタバタとうるさい足音と一緒に、剣司が病室に入ってくる。
「剣司!あんたもっと静かに入ってこれないの!?」
「あ…わりぃ……じゃなくて!」
「何よ?」
「誕生日おめでとう!!」
「……ありがとう」
「あ、もしかして俺一番のり?」
「…こんな早くからくるやつなんてあんたぐらいしかいないわよ…」
はぁとわざと大きくため息を吐いて俯き、少し赤くなってる頬を隠した。
素直に、「嬉しい」なんて言えない。
「へへっ…」
それを知ってか知らずか、剣司は照れくさそうに笑った。