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□トクベツ
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「剣司(近藤くん)誕生日おめでとう!!」


「ありがとう、みんな!」


今日は1年に一度、「おめでとう」とみんなに言ってもらえる誕生日。

みんなを家に呼んで、誕生日パーティ。
母ちゃんが俺のために、俺の好きなものばかりをたくさん作ってくれた。



「おめでとう、剣司!」


「サンキュー!衛!」


「・・・あの・・・さ、剣司・・・」


「ん〜?」


「さ・・・咲良、いないね・・・・・」


「あっ・・・あ〜!そうだな!どうしたんだろうな〜!?」


動揺していないようにふるま・・・っているつもり。
きっとできていない。

俺にとってすごく重要な人物、咲良が来ていないんだ。
ただでさえ嘘をつくことが苦手なのに、こんな一大事、普通でいられるわけがない!



・・・・・咲良、なんでこねぇんだろう・・・



今日の主役を置き去りにして、盛り上がる同級生たち。

はぁと小さくため息をついて、みんなのいるところに戻る。



ピンポーン



家の呼び鈴が鳴り、「こんばんは〜!」という聞き覚えのある声が耳に届いた。

母ちゃんが出ようとするのを止めて、玄関に駆け寄る。



「・・・咲良・・」


「剣司!」


「「・・・・・・・」」



お互いなぜか黙り込んでしまう。


走ったからなのか、緊張しているのか・・・それとも咲良が目の前にいるからなのか・・・・・

心臓がドキドキとうるさい。



「・・・えっ・・・と、とりあえず中入れよ!」


「うん。ありがとう。」


「もうみんな集まってご飯食べてるぜ!早く行かねぇと食べるもんなくなる〜!」



咲良が来てくれただけで、足取りが軽い。
自然と笑顔になる。



「ちょっと待って!剣司!」


居間に入ろうとした時、咲良に呼び止められた。
振り返って「何?」と答える。



「・・・誕生日、おめでとう」



咲良は顔を赤くして、恥ずかしそうに持っていた紙袋を差し出した。



「・・っ・・・!ありがとう!!」



咲良からプレゼントが貰えるなんて・・・ましてや、二人きりになれるなんて思ってもいなかった。
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