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□そばにいれるだけでいいとか、
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ヘタレな男の子10trial
5.そばにいれるだけでいいとか、
「アァァーーーレェェーーーンンンーーーくぅ〜〜〜〜〜ん!!!!!」
コムイの、何処から出てくるかわからないような不気味な声が部屋に響く。
アレンはその声に、体を硬直させた。
額から汗がだらだらと流れている。
「きっきき君!僕のきゃわいいリナリーをぉおーーーー!!抱きしめるだなんてーーーーーーーーーーーーー!!!
そしてこの後リナリーがかわいいからって自室に連れ込んであんなことやこんなこ・・・・・・・・・・ぎゃぁーーーーーー!!いやーーー〜〜〜っっ!!ぼっ僕のリナリィー!!
ゆっ、許さん!断じて許さんぞ!アレンくん!!!!!」
完全に我を忘れ暴れだすコムイ。
こうなったらもう止められない。
「おっ、落ち着いてくださいコムイさんっ!!
僕はそんなこと・・・」
「そうよ兄さん!今のだって兄さんが大きな声出すからびっくりしてよろけちゃったのをアレンくんが支えてくれたのよっ!?」
多少頬に赤みを残しつつ、二人は弁解をはかる。
しかし・・・・・
「リナリーちゃん!そんなのに騙されちゃいけません!!そいつは羊の毛皮をかぶった狼なんだっ!!!」
「兄さんっ!もういい加減に・・・」
「フフ・・・フフフ。アレンくん・・・覚悟してねv」
キュイーーン。
あの例の機械音を背にじりじりとアレンに近づく。
真っ青な顔をしたアレンは、近づいてくるコムイが怖すぎて身動きがとれない。
「え・・・ちょっ、だから違っ・・・!!」
アレンの弁解の声は、コムイが発する機械音、その他もろもろの音によってかき消された。
_________
「ごめんね、アレンくん・・・・・・・兄さんの所為で」
「い・・・いえ・・・・;」
リナリーは、兄によって悪化したアレンのけがの手当てをしていた。
「まったく・・・兄さんも兄さんよ。私、本当の事言ってるのに!」
「仕方ないですよ。コムイさん、リナリーのことを本当に大切に思ってるんですから」
苦笑いを浮かべながらも、素直な心情を口にする。
『僕も、同じぐらい・・・いや、これ以上にリナリーのこと想ってるのに・・・』
こんなことが頭に浮かんだが、もちろん口に出せるわけがない。
アレンは、今にも言ってしまいそうなその言葉を飲み込んだ。
「アレンくん?」
「へ?わっ!!///」
気がつくと、リナリーの顔が目の前にあり驚いて顔を赤くするアレン。
そんなアレンを知ってか知らずか、じっと見つめるリナリー。
「・・・・アレンくん、まだ傷・・・痛いよね。」
「ぅへ!?///あ、はい・・・ちょっとだけ」
今の声、裏返ってたよなーと、さらに顔を赤くしていると、唇にやわらかくてあたたかい何かが触れた。
近くにいたリナリーが、さらに近くにいて・・・・
距離が、ない。
今、僕の唇に触れたのは・・・
リナリーの唇?
「!!リッ、リナ・・・!!////」
「・・・早く治るおまじない。
それじゃぁ、お大事に・・・・・ね///」
耳まで赤くなったリナリーが走って部屋を出ていった。
ブーツのコツコツ、という音がだんだん遠ざかっていく。
呆然とソファーに座っていたアレンは、そのままぱたりと倒れた。
「・・・・・っもう、隠せないかな・・・・・?」
一度は隠そうと思っていたリナリーへの想い。
しかし、それは彼女によっていとも簡単に紐を解かれてしまった。
「・・・・・・・はは、困ったなぁ・・・」
言葉とは裏腹に、アレンは満面の笑みを浮かべる。
リナリーの真っ赤な顔を思い出し、自分もつられて真っ赤になった。
そばにいれるだけでいいとか、
そんなこと、絶対にないんだと思い知らされた・・・
愛しい想い人によって。
END.....
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