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□孤独だった頃の傷跡
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君で変わっていく10のお題
7.孤独だった頃の傷跡
こんな雨の日は思い出す。
しとしとと雨が降り続ける故郷。
昔の事を思い出していたら、いつの間にか傘もささずに外に飛び出していた。
新八が止めるのも聞かずに。
痛い
昔の傷跡が痛む
痛みを誤魔化すために、必死で走った。
歌舞伎町の知っている道を歩き回って帰った時には、もう何もかもがびしょ濡れだった。
下着がべっとりと肌に張り付いているし、髪もぐしゃぐしゃで前がよく見えない。
玄関の戸を開けると、誰かが右隅に座っている。
銀時だった。
ぽりぽりと酢昆布を食べている。
「おー、遅かったじゃねぇか。」
「………こんなとこで何してるアルか」
「あん?これはなぁ、アレだよ。瞑想だよ」
「意味わかんないヨ。あとその酢昆布私のネ」
何故か玄関にいた銀時から酢昆布を奪い、彼の隣を通り抜けて居間へ向かおうとすると、新八が居間からお玉を持って出てきた。
「あっ、神楽ちゃん!やっと帰ってきた。
ご飯出来てるから、お風呂入って着替えてからおいでよ」
いつもと変わらないように接してくれてる新八。
心配そうに少し眉をハの字にしてるのが無性に嬉しくて、小さく「うん」と頷く。
新八の言う通りに風呂に向かおうと再び歩みを進めようとしたら、後ろから白い布に包まれた。