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□kiss and kiss
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長期の任務がやっと終わった。
ホームに帰れるという安堵と任務での疲労からか、アレンは黒の教団本部を前にしてぱたり、と倒れた。
「…ん…」
うっすらと目をあけると見慣れた天井。
意識がはっきりせずぼうっとしていると、誰かの足音が聞こえてきた。
その足音がぴたりとやんだと思ったら、額に冷たい布が置かれた。
「わっ」
「きゃっ!びっくりしたぁ。起きてたの、アレンくん」
先程の足音の主はリナリーだった。
うまく開いてくれない目を何とか開けて、彼女を見る。
「あの、僕…」
「やっぱり、覚えてないみたいだね」
眉を八の字にして、心底心配している顔をする。
そんなリナリーの顔を見てアレンはとても申し訳ない気持ちになった。
「アレンくん、高熱で倒れちゃったんだよ。帰ってきた時意識なかったし…きっと任務での疲れが溜まっちゃったのね」
「そ…なんですか」
鍛え方が足りないのかなぁなんて笑ってみせると、リナリーはむくれてアレンを少し睨んだ。
だが、溜め息と同時にきつかった表情をすぐ元に戻す。
「いつも頑張ってるからちょっとは休め、って言ってるのよ。体が」
そう言って傍らにあったスポーツドリンクを差し出す。
「お疲れ様。そしておかえりなさい、アレンくん」
いつもの極上の笑顔で言われれば、熱とは違う意味でアレンは頬を赤く染める。
「た、ただいま…」
布団に顔半分を引っ込めたまま、アレンは小さく返事をした。
「あ、そうだ。薬飲まなきゃ」
そう呟くとリナリーは、近くにある机から風邪薬をとってアレンの方へ向き直る。