ギアス部屋
□3.あなたのしぐさ
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もう瞳を開けることのない彼女を横目で見ながら、パイロットスーツの前を閉じた。
どうしてこんなことになったのかは、小さな少年から聞いた。
わかってる。破壊は憎しみは悲しみと絶望と虚しさを呼ぶだけだという事は。
でも、止まらないんだ。
ゼロへの憎しみ。
彼を破壊したいという思いが。
彼は、僕の一番大切な人を僕から奪った。
ユフィ
目を閉じれば浮かんでくるんだ。
君の凛とした横顔も
猫と楽しそうに話すところも
無邪気に笑った顔も
照れてはにかんだ顔も
ちょっとした、しぐさも
いきなりな発言も
手のぬくもりも
赤くて小さい唇の感触も
全部鮮明によみがえる。
君がすきなんだ、ユフィ
だいすきなんだ
目から、さっき止まったはずの涙がまた零れ落ちた。
でもそれはすぐ止まった。
今からは泣くのではなく、壊しに行くのだから。
ゼロを。
「ユフィ」
冷たくなった姫の唇に、騎士は最後の口づけをした。
END....