マクロスF部屋
□見上げた蒼い空は切なくて、なんだか泣いているように見えた
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いつも綺麗に輝く、宝石みたいなアルトくんの髪。
触ってみたいなって、こっそり思ってた。
「あっ、あの!」
「ん?何だよ」
「髪、私が縛っても、いい…?」
「…………………」
「…あっ、ごめん!えっと……」
「好きにしろよ」
「………え?」
「髪、縛りたいんだろ?」
アルトは小さく笑い、ランカから背を向けた。
その背中をぼんやりと見ながら、彼から許可が降りたことに気付く。
髪を触ること、嫌じゃないのかな。
髪って大切だよね、それは女の子だけ?
少しだけ、ほんの少しだけ、特別だって思ってもいいのかな。
いろいろと複雑に絡まった感情は、アルトくんの促す声により一旦頭から離れた。
「しっ、失礼します!」
「ははっ、何だよそれ」
笑うアルトに、ランカは頬を膨らませる。
だって緊張するんだもん!、という情けなくて恥ずかしい心の叫びをぐっと抑え、そっとアルトの青色の長髪に触れる。
「……わぁっ…ほんと、きれい……!」
自分の指をさらさらと流れる長くて細い髪を、手櫛でとかしながら呟く。
「綺麗って、男が言われても嬉しくないぞ」
ランカの発言に機嫌を損ねたのか、アルトは少し口を尖らせて反論した。
「だって本当に綺麗だもん!ずっと、触っていたくなっ…」
ちゃうよ、まで言いそうになって、思わず口を止めた。
わたし、いまなんて言った?
混乱と恥ずかしさから、みるみる顔が赤くなっていくのがわかる。
アルトもそれが伝線したかのように、顔が赤くなっていく。
「んなっ!?ばっ…!」
「ごっ、ごごごめんなさい!今のは、違うの!あ、でも違わない、けど………」
語尾がだんだん小さくなっていく。
もう、私ってなんでこうなんだろう?
きっと、アルトくんだって呆れてしまっている。
ちらりと彼を見ると、呆れているような笑っているような、不思議な顔をしていた。