マクロスF部屋

□君に触れるだけで
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やわらかそうだな。



そう思ったら、いつの間にか触れてた。





「ア、ルト…くん?」


ついさっきまで楽しそうに笑って話をしていたランカの瞳が、ゆれる。



俺が、彼女の頬に右手を添えているから。




自分でも何でこんなことをしたのかわからない。



ランカの頬が、表情が変わるたびに彼女の感情と共にくるくると変わるそれが。




やわらかそうだな、と思って。



ただ、それだけなのに。




無意識のうちに右手を彼女の頬にやっていた。





最近の俺は、おかしい。





「あのっ…、どうしたの?」


黙ったまま動かない俺を覚醒させるように、ランカの声がかかる。



彼女の顔を見ると、不安そうに瞳を潤ませこちらをじっと見ていた。


先程まで肌色だった頬が赤く染まり、じんわりとした熱を帯びている。







たまらなく、いとおしい。



もっとちかくにいきたい


ひとりじめしたい


だきしめたい


キスしたい






どんどん心に浮かぶ言葉に戸惑いが隠せない。

ほんとに俺は、どうかしてる。






「…ランカ」


少しかすれた声で、名前を呼ぶ。
彼女はびくっ、と少しだけ震えたが、瞳は俺を捕らえたままだった。




「アルトくん…?」


ランカの甘い声に、今度は俺がびくり、と肩を跳ねさせた。






頭が警報を鳴らしてる。これ以上近づいたら止まらない。
だめだ、まだ。


彼女に触れちゃいけない。





頭ではそう思うのに、だらりとぶら下がっていた左手が勝手に動く。
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