リトの英傑様と風の巫女のお話

□君のことなどもう忘れたよ
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回生を果たしたリンクによって厄災は討伐された。



この僕が認めてやったくらいなんだからそんなの当たり前だけどね。


城で王や他の英傑と共に彼らを見送り、僕らはそこからそれぞれ分かれることになった。
誰が何を言ったわけでもないけど、死に場所くらいは……いや、もう死んでるか…。僕らはみんな、厄災に殺されてしまったけれど、最後の最期に消える場所くらいは自分で選ばせてほしい。
…………たぶん、みんな僕と同じことを思ったんじゃないかな。


実際どうだかは知らないけど。




僕が最期に選ぶ場所と言えば、やっぱりメドーだよね。
だってそりゃあ…最期まで故郷を見守っていたいだろ?



本音を言えば………そう、あいつの隣で最期まで彼女の姿を目に焼き付けながら消えていきたかったけど…。
彼女は不思議な力を持ってはいたものの、種族的にはシーカー族だからきっと、100年前の厄災復活の影響で死んでなければ生きてるんじゃないかな。
……生きてるよ、きっと。




魂になった今でも、目を瞑ればあの頃の君を思い出すことが出来るんだ。
本当のこと言えばさ、君とやりたいことが沢山あったんだよ。
君に海を見せてあげたかったし、リトの村以外の集落にだって連れてってやりたかった。メドーにも最後の最後まで乗せてやらなかったし弓だってあんな腕前のままでさ…。

今更こんなこと思うだなんて女々しいかな。いいだろ最期くらい。





あーあ。
結局好きだって一言も伝えられなかったな。なっさけないよね、ほんと。
ま、あいつもあれだけちゃらんぽらんだけど、魅力が一欠片もないわけじゃないからこの100年の間に結婚とか何とかしちゃってるかもしれないけどね。

そんなこと考えるとただひたすらに悔しいけどさ、でもいいんだ。僕にはもう、彼女を幸せにすることは出来ないから。
彼女が幸せならそれでさ…。






さて、もうそろそろ僕はいくとするかな。
仮に相手がいたとしてもさ、向こうで待つくらいはいいだろ?


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