空想の書庫
□雪の森
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ー決してあの森に入ってはならないよー
ー鬼に食べられてしまうからー
幼い頃より言われ続けていた、自宅の裏山の奥にある禁じられた森の伝承。何でもこのクニが創造された時にすぐ怪しきものがあの森に入り、神々が祓おうとしても敵わず。それからずっと森に立ち入った人々や獣を喰ろうているのだという。
(馬鹿馬鹿しい)
大体検討はつく。どうせ木こりが足でも挫いてそれを無いもののせいにしただけだろう。
村に住む少年、冬獅郎は眉間の皺を寄せて深々とため息をついた。
伸び悩む年齢と合いしない身長に、輝く月のような白銀色の髪と神々しい泉の色を思わせる翡翠色の瞳を持つ。
「…だが、行くしかねぇんだよな」