記憶
□手掛かり
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食事は基本的に自炊をする派だが、今日はそんな気分じゃねェ。
手頃な店を探しに本部から出て、黒の傘を差した。
平日なうえ雨も強くなってきたからか、みなとみらいといえども流石に人は少ない。
ここらでいいか、とネットで見つけたスペイン料理の店を目指して歩いていた。
「中原幹部!お、お疲れ様です。」
目の前で頭を下げた金髪の女。
「おう、手前も昼飯か?樋口」
金髪の女、基、芥川の部下・樋口一葉。
いつも芥川に引っ付いているのに一人とは、珍しい。
「はい、今日は午後から非番なので。
もう少しで妹の誕生日なので、なにか見繕おうとおもいまして。」
…妹いたのか。
「なるほどな、妹想いでいいじゃねえか。
で、結局昼飯は終わったのか?」
「…?いえ、まだですが。」