高校生

□身長差カップルにありがちなこと。
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月と過ごす時間はあっという間に過ぎていく
一緒にいられない時間はものすごく長く感じるのに、一緒にいる時間はすぐに過ぎちゃうってなんか理不尽




「はぁ、帰りたくないなー」

「そういうことを簡単に言うな
帰したくなくなる」




帰り道、そんなことを言って立ち止まる
前髪に隠れた瞳はいったいどんな表情をしているんだろう

屈んで、とお願いすると手をあまり伸ばさなくても月の頬に触れられるくらいの距離になる




「私も、月のことお家に帰したくないよ」



少し背伸びをしてキスをする
外では彼に不意打ちキスを仕掛けることはできない
どうにかして不意打ちしてやりたいといつも考えているけど中々、いい案が思い浮かばない




「我儘を言うな、止められなくなる」

「ん…」




私がしたのより深いキスが返ってくる
もっと月と一緒にいたくて首に手を回すけど、これ以上 屈んでもらうのは辛いだろうと思い名残惜しいけど離れる




「またな、蘭」

「うん、またね」




別れ際、月は私の頭を撫でてくれる
子ども扱いされてるみたいな気持ちになるけど、その手つきが優しくて温かくて私は好き
こんなに身長差あると、やっぱり頭撫でやすいのかな




別れた後も、唇には彼が残した温もりが残っていて家に着いてもドキドキは止まらなかった




__________




集合時間の1時間なのに私は準備完了で何度も鏡を見ては服を整え、髪を整え、お化粧をチェックし、忘れ物がないか確認する


月にプレゼントするペンダントにお財布にケータイにポーチに…
何度も確認しているから忘れ物なんてないはずなのに何かしていないと落ち着かなくてソワソワしてしまう


はぁ、今日会ったらしばらく会えないのかー…合宿所、調べたら山の中だったなぁ電波入るのかな?連絡とれるかな?
お見送りのとき泣いちゃったらどうしよう…、でも月は笑顔とかそんなに好きじゃないし、別にいいか……


なんて考えていたらついにやってきたお見送りの時間
JAPANと書かれた見たことのないジャージに身を包む月はいつにも増してカッコよくてこれから離れ離れになるのにトキメキが止まらなくなってしまう

バスの出発まで少し時間があるらしいので近くの公園のベンチに座りプレゼントを渡す




「日本代表か…、なんか改めて思うけど月ってすごい人なんだね」

「大したことはない、俺より強い奴がこれから行く合宿にはいる」

「楽しみ?」

「まぁな」




表情はあまり変わらないけど、きっとワクワクしてるんだろうな
日本代表を選ぶようなハイレベルな合宿、なんだか月が遠くにいっちゃうみたい
実際、遠くに行くわけだけど




「そうだ、ペンダント付けてあげるね」




月は座っているので私がベンチの後ろに回れば丁度 難なくペンダントを付けてあげられる


ん?この状態、めちゃくちゃよくない?月は屈む必要ないし、私は背伸びしなくていいし
何で今まで思いつかなかったんだろう…




「これをお前だと思って大切にする」

「うん」




座っている月の前に立つ
月は私が何を考えているのかわからないようで私の様子をうかがっている

いつもは70センチも高いところにある月光の頭に手を置き、いつも月光がしてくれるように優しく撫でる




「月がもっともっと強くなれますように
日本代表に選ばれて、世界で活躍しちゃいますように
私のことずっと想ってくれますように
浮気しませんよーに」




目を閉じ、頭を撫でながらわざとらしくそう口に出す
月はどんな顔しているんだろうと思って目を開けると、今まで見たこともないくらい驚きを隠せないような表情をしていた
というか、こんなに感情を表に出した顔するなんて初めて見た

こんなに照れた月見るの初めてなんだけど?!
自分で考えておいて、なんか私までドキドキしてきた




「…悪くない」




月はそう呟いた
そっか、こんなに背高いと人を撫でることはあっても撫でられることないもんね
また、忘れたころにナデナデしてあげよーっと




「ふふ、月より背高いなんて嬉しい」




座っている月と、立ってる私
今なら私の方が大きいから私の方が屈んで月に顔を寄せる

触れるだけのキスでは飽き足らず、私は彼の頬に手を置き角度を変えて深く舌を絡めた




「いつも屈んでもらってるけど、これけっこうキツイね
私ももーちょっと身長伸ばさないとな」

「その必要はない
お前はそのままでいい」




今度は月が私の頬を引き寄せ唇を重ねた
会えない間触れられない分、お互いをちゃんと刻み込むように




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