中学生

□プロローグ
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あまり長居しても幸村に迷惑だろうと
真田と柳と一緒に病室を出る




「幸村、また来るからね」

「うん 待ってるよ」




後ろ髪を引かれる思いで幸村に別れを告げ
家まで送ると言う2人の申し出をありがたく受け取る




「ねぇ、幸村…大丈夫なんだよね?」

「…」

「…」




真田も柳も、すぐには答えてくれなかった
私だって、わかってる
幸村が無理して私に笑顔を向けていたことくらい、そんなにバカじゃないから、気づいてる




「どのくらい悪いの?
テニスの大会は出られるの?」




テニスは、幸村の全て
中学3年の幸村にとって、次の大会に出場できないことがどれほど悔しく辛いことか、私なんかには到底理解が及ぶものではない




「手術が必要らしい、成功の可能性はあまり高くないそうだが
手術をしなければ、精市は大会どころかテニスすら二度とできなくなるだろう」

「そう…」




あまり良くないことは、わかっていた
でも、そんなに深刻なの??
幸村はどうなっちゃうの???




「九条?」




思わず足を止めて俯く私に真田が声をかけた




「どうして…幸村なの…」

「…」




涙が溢れた
どうして神様はこんな意地悪をするの?
幸村からテニスを奪わないで…




「私が、代わってあげられたらいいのに」

「いや、幸村はそれは望まないだろう」

「ううん、私が代わったらいいの
私の体なんてどうなってもいいのに…
どうして幸村じゃないといけないの…??」




答えの出ない問いを真田と柳にぶつけても
どうにもならないことくらいわかってる
でも、どうしてもやりきれない
幸村の儚い笑顔が目の裏にこびりついて離れない




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