中学生

□高貴さは…
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景吾と付き合ってることは隠してなんていない、そもそも隠そうとすら思わなかった
堂々と、景吾は私のものと主張しながら過ごしているから女友達は少ない

もちろん男友達なんていない、ちゃんと話せるのは景吾と同じテニス部の正レギュラーの人たちくらいだと思う

他の男子生徒は私が景吾の女だから萎縮するのかわからないけど、あまり会話らしい会話をしたことがない
別に困りはしないけど、クラスの用事で話さないといけないときは少し面倒

女友達は少ないけど、敵(女)ならたくさんいる、なにせ跡部景吾と付き合っているのだから私のことをよく思っていない女の方が圧倒的に多い

特に景吾のファンクラブとやらは厄介だ
景吾とお近づきになるにはファンクラブに入らないとだめとかいう
意味がわからない、そんなもの入ったらそれこそ氷帝学園のただのモブに成り下がってしまう




「あら、九条さん ご機嫌よう」




面倒なのに見つかった
景吾のファンクラブの会長をしてるお嬢様
なんでお嬢様ってのはこう、自分勝手なんだ
なんでも自分が1番だと思い込んでる
本当、いけ好かない生物だな…




「ご機嫌よう」

「九条さん、私 貴女のこと誤解していましたわ」

「誤解?」

「えぇ、いったいどんなコネを使って跡部様のお側にいるのか知りませんけど…貴女、一般庶民のご家庭出身なんですってね」




見下すような目線の女
あぁ、これだからお金持ちのお嬢様は嫌いなんだ
家柄、財産が全てだと思ってる
そんなのあんた自身の魅力でもなんでもない
生まれる前からある環境でしかない




「どこのお嬢様かと思ってましたけど、ただの庶民が珍しくて跡部様に気に入られているだけなんですってね
確かに、私の友人にも庶民の方はおりませんから興味はありますわ
でも、跡部様によくしてもらえるのも今のうちだけよ?そのうち飽きられるのがおちですわ
あなたたち庶民と、跡部様のような高貴な方は住む世界も何もかも違うんですもの」




よくそんな面倒くさい言葉使いで饒舌に私の悪口が言えるなと感心しながら聞く
そっかー、バレちゃったか…まぁ、隠してるつもりもなかったけど




「確かに私の家はあなた方みたいなやお金持ちでもなんでもないけど、それが何か問題でも?景吾は私のバックグラウンドじゃなく私という個人を見てくれてるの
人を家柄や身分でしか見れないあなた方こそ、景吾とは何もかもが違う 勝手に一緒にしないで」




目の前の女の顔が引きつっていく
殴られるのかなー、騒がれるのかなー、
でもここ廊下だし、みんな見てるし証人はたくさんいるものなー
んー、いや違うな、私の敵か…ほとんど




「ずいぶんな物言いじゃない
庶民の分際で、生意気なことを」

「そこまでだ」

「「?!」」




確実に、その女にぶたれると思った
しかし愛しい人の声が聞こえた瞬間私はよく知ってる温もりに包まれた




「跡部様…っ」

「何をしている、お前ら」

「跡部様…、その方は一般庶民の出身の身でありながら跡部様にとり入ろうとしている卑しい人間なのですよ?騙されてはいけません、庶民が珍しいのはわかりますがそんな方とは早々に縁を切った方がよろしいですわ」

「こいつが庶民だから、なんだ?
俺はこいつが珍しくて側に置いてんじゃねぇ
庶民だとか、金持ちだとか、そんなこと関係ねぇんだよ」




私を抱く腕が強くなる
心臓の音がすぐ近くで鳴ってる




「言ったはずだ、この女に近寄るなと
それとも規約を犯すつもりか?あーん?」

「そんな…申し訳ございません
以後、改めます 九条さん、ご機嫌よう」




貼り付けたような笑顔を私に向け去っていく女
景吾はそれを見送ることはなく、そのまま私の手を引いて歩き出した




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