妖狐

□鬼の手
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もし私に鵺野先生みたいな人並外れた妖力があって、人間離れした強靭な肉体があって、玉藻先生と一緒に戦えるくらいの力を持った霊能者だったら、と考えたことが何度かある




鵺野先生の鬼の手の中の人(鬼)である覇鬼の弟の絶鬼たんと仲良くなって、絶鬼たんが私の鬼の手になってくれたらいいんじゃないかとか考えついた




そのことを玉藻先生や鵺野先生に話したら却下されたけど、私の中では結構ありだと思っている




「どうしたの鏡花、考え事?」




私の顔を覗き込む絶鬼たん

今日は久しぶりに2人でおでかけ中
この前行ったピアノが弾けるカフェが相当気に入ったらしく、リピートしているのだ


絶鬼たんは鬼なのにピアノが弾けるから本当にすごいと思う、というか私の周りの人間に化ける妖怪達はずいぶん容姿のレベルが高い




「ねぇ、絶鬼たん 私の鬼の手になってくれる?」




一瞬の間
絶鬼たんは私が発した「私の鬼の手になってくれる?」という15音の言葉を咀嚼し、理解して、そしてからそれに対する答えを述べた




「喜んで!」

「え、本当に?」

「もちろんだよ、鏡花の願いならなんだってきくさ
右手がいい?それとも左手? あぁ、麗しい鏡花の一部になれるなんて光栄だよ、あ 安心してね妖力を一切もたない君でも扱えるように僕が力を制御するから」




私の手を握り、目をキラキラさせながら言う絶鬼たんは私よりも乗り気なようだ
絶鬼たんの強さには鵺野先生も玉藻先生も手こずったらしいし、そんな絶鬼たんを霊能者じゃない私が鬼の手にしたらきっと2人みたいに強くなれるんだろうなぁ……




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