妖狐

□光
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暗闇の中に一筋差し込んだ光




温もりのない世界に温度をくれた




愛情なんて知らない
愛なんて理解できない




冷たくて、暗くて、永遠の孤独がお似合いだった




そんな私に降り注ぐ限りのない光、温もり、愛
私には無かったものを全て持っている
全てを与えてくれた存在




__________




「玉藻先生♪」




無邪気に私に笑いかけ小さな温もりで私を包む
世の中の何も知らないこんな少女に私は救われた




「鏡花」




愛しい名前を呼ぶ
不思議だ、この名前を紡げば紡ぐほどに愛しさが増す
触れれば触れるほど、もっと欲しくなる
全く私は相当この少女に入れ込んでるらしい




「貴女は、私の光です」

「ん?」




私の言葉の意図がわからないというような顔をしている
まぁ、わかられても驚いてしまいますが




「よくわからないけど…、玉藻先生も私にとっては光だよ?」

「?」

「なーんにも持ってない私に、全てを与えてくれた
暗い世界から出してくれたんだもん
この体温…妖術で作ってる偽物って言ってたけど、違うと私は思ってる
これは元々、玉藻先生が持ってる優しい温度だよ
この温もりに何度も何度も救われたの
だから、玉藻先生は私の光なの」

「!」




本当にこの少女には敵わない
なんで貴女はそんなに私の心をかき乱す
愛しくて、たまらなくて、腕の中にすっぽりとおさまる体を強く抱く




「痛いよっ……、どうしたの??」

「すみません、今はこうして貴女を腕に抱いていたい」

「うん…」




遠慮がちに体に腕をまわされる
妖術で作ったニセモノではない、彼女の体に溢れる温もりが私にも流れてくる




ずっとこのまま、この優しさに甘んじていられたらいいのに、と妖狐ともあろう私がずいぶん呑気なことを望むものだと心の中で自分を嘲笑した




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