監督の部屋

□本命チョコ
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今日2月14日は恋人たちにとって聖なる日




チョコレートに想いを乗せて好きな人に気持ちを伝えられる素敵な日




「そんなんえぇから、はよチョコ食わしてぇや」

「最低、もっとムードとかってものがないの?!」




私の恋人、オサムちゃんはこういう恋人同士のイベントというものを蔑ろにする人
この人にロマンチックさを求めるのは間違いだというのは分かってはいるけど、それでもやっぱり私は諦めきれない

そりゃあ、ちゃんとチョコは準備している
オサムちゃんのことだから何食べても「美味い」って言ってくれるのは分かってるけど、それでも本気で美味しいって思ってほしくて練習もした




「なんや、クソガキのくせにムードなんて100万年早いわ」

「クソガキじゃないもん!」

「俺からしたらクソガキや」

「じゃあ、おっさん」

「お兄さんや、ボケ」




私の頭をガシガシとするオサムちゃん
この仕草が嫌いじゃない私はMなのかもしれない…
と、そんなことは置いといて




「もうっ!わかったよ!
オサムちゃんにロマンチックとかムードとか求めた私がバカだった!!
はいっ、これっ!義理チョコね!!」

「おっ、本命チョコやな おおきに」




わざとらしくそう言い、私から『本命チョコ』を受け取るオサムちゃん
本当にムードのかけらもなく包みを開け、中のチョコを食べ始めた




「っていうか、学校で女の子からチョコとか貰わないわけ?」

「貰わへんからこうして、可愛い可愛い蘭ちゃんに物乞いしてるんやろが」

「ふーん」




意外、これは恋人の贔屓目かもしれないけどオサムちゃんイケメンだし、中学生の女の子から好かれてもおかしくないと思う




「でもね、前にテニス部の白石くんが
『ホンマかなわへんわぁ、オサムちゃん部員の誰よりもモテよるねん
あんな呑んだくれがモテて、清純なテニス部員がモテへんておかしない??
って、こんなこと彼女の蘭ちゃんに言ってもしゃーないか』
って言ってたからてっきりたくさん貰ってるのかと思った」

「…白石のやつ、いらんこと言いよって」

「え?何?」

「何でもない、それよりこのチョコめっちゃ美味いやん さすが俺の彼女やな
将来えぇ嫁になるわ」

「お褒めにあずかり光栄です」




『えぇ嫁になる』
そう言われて心臓が跳ねた
それはオサムちゃんのお嫁さんにしてくれるってこと?
喉元まででた言葉を飲み込み、私は可愛げなくそう言った




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