高校生

□「I LOVE YOU」
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九条蘭
俺はこいつに相当イかれてる
こんなに1人の女に入れ込むなんて思ってもいなかった
しかも、こんな女に本気になるなんて
どうかしてるとしか思えない




「お頭〜」




猫のようにすり寄ってきたり、ベタベタとくっ付いてきたり、寄りかかってきたり、しまいには俺を枕に寝やがる始末

そんな女をこんなに愛しいと思うなんて
何かの間違いだと思いたいが、これは現実
事実、俺はこの女が愛しくて仕方がない
こいつの一挙手一投足、全てが愛しいだなんて
どこかでヤバイものでも食っておかしくなったのだろうかと自分を疑う




「ラムね、外国の言葉いろいろ勉強したんだよ!!
英語は話せるけどね、お頭に着いていって英語だけじゃダメだって気づいたの」




そもそも、helloとthank youとi love youしかまともに話せない言語を「話せる」と言ってる時点でこいつの頭脳なぞ知れている
こんな知能も背も能力も低い女のどこに惚れてるのか自分を問い詰めたいが確かな答えはでない




「何語を覚えたんだ?」




抱きしめれば包み込めるサイズの蘭を膝の上に乗せ、勉強の成果を訪ねると初めて言葉を覚えた童のように目をキラキラと輝かせ話し始める蘭




「んーとね、まずフランス語でしょー、それとイタリア語、ドイツ語、ギリシャ語、スペイン語、ポルトガル語、ロシア語、アラビア語、中国語、韓国語!!10個!!」

「ほう、聞かせてみろ」




この展開は、何となく…いや、十中八九 オチが見えたがそれでもこいつの「成果」とやらを見てやろうとするだなんて、俺は相当こいつを甘いようだ




「我爱你」(ウォーアイニー)

「中国語だな」

「사랑해요」(サランヘヨ)

「韓国語」

「 Σ' αγαπώ」(サガポー)

「ギリシャ語」

「Ti amo」(ティアーモ)

「イタリア語」

「Je t'aime」(ジュテーム)

「フランス語」

「Te amo」(テアモ)

「スペイン語」

「 Ich liebe dich」(イッヒリーベディッヒ)

「ドイツ語」

「Eu te amo」(エウチアーモ)

「ポルトガル語」

「 أحبك」(ウヒッブカ)

「アラビア語」

「Я тебя люблю」(ヤー・ティビャー・リュブリュー)

「ロシア語」

「すごーい!!全部正解だよ
さすがお頭だね」




楽しそうに笑う蘭
本当にこの生物は同じ人間なのだろうかと疑問を持ちたくなるほどこの女の感覚がわからない




「10個もよく覚えたとは思うが
会話はできないな」

「できるよ お頭と会話するのには
愛してるって言葉があればそれでいいもん」




当たり前のことのように言う蘭
本当にこの女はわからない

そしてこの女のそんな言葉を不覚にも愛しいと感じる自分自身も、相当理解に苦しむ




「そうだな、お前はその言葉だけ覚えていればいい」

「うん!目指せ全言語制覇だね!」




この女は地球上にどれだけの数の言語があるか理解して言っているのだろうか
いや、おそらく知らないで言っているのだろう
まぁでも、この童が言葉を覚えていくのを眺めているのも悪くない




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