中学生
□ワガママ彼女の話
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バスに揺られること数時間
「ねぇ、まだ着かないの?
だいぶ山奥に来ちゃったみたいだけど?
ほら、電波入らない!Wi-Fi持って来てよかったね景吾」
私はわがままだ、その自覚はある でも景吾は私のわがままなんて可愛いものだとでもいうように私のお願いを全部叶えてくれる
でも今回は自分でもよくわかっている、今まで景吾に言ったわがままの中で1番のわがままを言った自信がある
『私も行く!連れてって景吾!』
『んなもん、無理に決まってんだろ』
『やだ! 絶対に嫌!景吾と離れたくない!』
テニスの日本代表合宿に参加することになった氷帝テニス部、もちろん1番強い景吾が招集されないわけはなく景吾はしばらく山の中にある合宿所に行ってしまうとのこと
やっと全国大会終わって、景吾と残り少ない中等部ライフをエンジョイしようとしていた矢先の合宿の話
私は、もう あと少ししか景吾と一緒にいられないのに…
『景吾!!卒業したらイギリスに帰っちゃうの?!』
『…、誰からきいた』
『ミカエルさんだよ!
ねぇ、どうして教えてくれなかったの?!』
景吾は中等部を卒業したら氷帝の高等部には進まずイギリスに経営学の勉強をするために行ってしまう
だから私は景吾と約束をした、中等部の間は景吾とできるだけたくさん一緒にいるって
だから無理言ってこうして日本代表合宿に同行させてもらってるわけ
「そういえば合宿にはお前の兄貴がいるんだろ?」
「うん!覚えててくれたんだ!」
「当たり前だ、お前のことで覚えていないことはない」
「嬉しい
そういえば、お兄ちゃんにも全然会ってないなぁ 会えるといいなぁ」
「…ブラコン」
「そんなことないよ!
お兄ちゃんのことは大好きだけど、あんまり相手してくれないし……あ、でもね1番好きなのは景吾だからね」
「あぁ、知ってる」
バスの中でこんなふうに景吾と2人だけの幸せワールドを展開していても他の部員は一切気にしない
まぁ、いつものことだから気にすることすらやめたのだろう さすが全国レベルはメンタルの鍛え方が違う
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