中学生
□みつけた
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いつもよりオシャレをして、いつもよりいいお店に連れていかれる
はぁ、何度経験しても好きになれない、いや そもそも好きになろうという気すら起こらない
「九条蘭さん、僕と結婚を前提にお付き合いしていただけませんか?」
またこの言葉だ
みんな、同じ教科書で勉強してきて その言葉を一言一句間違いなく私に述べている
結婚を前提にするなら、付き合う必要なんてどこにあるの?この言葉に頷いてしまったら、付き合うことを了承したうえにその先の結婚というゴールまで保証してしまうことになる
別に結婚の約束が嫌なわけじゃない
どうせ結婚するという未来がわかっているのに、わざわざ恋人ごっこをすることが面倒なんだ
「結婚を前提に、付き合う理由がわかりません
その交際期間 必要ですか?」
「結婚前にお互いのことを知る期間というものが必要かと…」
「知ってどうなるのです?付き合ってお互いの相性が合わなかったらどうするおつもりですか?結婚を前提にして付き合ってみて、結婚というゴールにたどり着く自信がなかった場合、その前提、というものはどうなるのです?」
結婚するしかない、なら相手がどんな人だろうと受け入れていくしかないと考えられる
でも結婚を前提にした交際、という聞こえのいいモラトリアムの中で少しでも理想と合わなかったら交際解消という選択肢がうまれる
結婚してしまったら、仕方ないことと諦めるだけ
結婚を前提にという名前のついた恋人ごっこのためにムダな時間を過ごすのはごめんだ
「蘭、またお断りしたの?」
帰りの車の中で呆れたようにそう言うお母様
「理由もなくお断りしているわけではありません
お父様とお母様が紹介してくださる方は、みなさん お家柄も学歴も申し分ない方ばかりです
ですが、これから何十年という私の人生を捧げる人を選ぶことを妥協したくないのです」
まだ焦って結婚相手を探さないといけない年齢ではない
というか、日本の法律的に私はまだ結婚できる年齢ではないし…
それでも、九条家のさらなる発展に貢献するため私は結婚相手を見極める必要がある
女なんて、若いうちが花 若く美しいうちでなければ家柄がよくとも相手にしてもらえなくなる
「安心してください、お父様
私 結婚の意思はありますし、早く決めたいとも考えておりますから」
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