中学生

□荊
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背中にあたる冷たい壁と
体の芯まで凍えてしまいそうなくらい冷たい視線を私に注ぐ幸村に挟まれ
身動きがとれなくなる




「蘭…、君はイケナイ子だね
こんなに俺の心を乱すなんて…」

「ごめんなさい…、幸村…」

「泣いてもダメだよ?蘭
イケナイ子にはお仕置きが必要だね」




長い指が私のあごをとらえて身長差のある彼と目があうように持ち上げられる
絵画のように美しい顔が目の前に広がるのに、美しいという感情よりも怖いという感情の方が勝る

刺すような鋭い眼差しに捕らえられて目をそらすことができない




「ごめんなさい…
信じて…、私が好きなのは幸村だけだから……他の人なんて、何にも思ってないから…」

「クスッ…、 当たり前だろ?
蘭が俺以外を好きになるなんて、ありえない
でも、君は隙が多すぎるんだよ?
だから他の男に言い寄られるんだ…」




幸村は目を伏せてそう言った
私が幸村以外の人を好きになるはずない
だって、ずっとずっと幸村に恋をしていてやっと想いが通じたんだから
私は、幸村に愛してもらえて幸せだよ




「んっ…はぁっ…んん」




噛み付くようにキスをされ甘い吐息が漏れる
抵抗できないように両手を掴まれ壁に押し付けられる




「ゆきっ…む、ら…」

「蘭は誰のものか、教えてあげる…」

「んっ!…やだっ、こんな…とこで…」




ここは学校で、部室の近くで、人通りは少ないけど誰か来たらすぐに見つかってしまうようなところで、しかも外で、
それなのに幸村は私の服を乱していく




「あんまり大きな声を出すと、誰かに見られちゃうよ?」

「っ…」

「そう、イイ子だね」

「お願い…やめて……」

「言っただろ?お仕置きだって
大人しくしてたら、痛くしないから」




お仕置きって言ったり、そうかと思えば信じられないくらい優しい手つきで撫でてくるし、私は幸村に翻弄されてばかり…

言われた通り抵抗をやめ、体の力を抜くと幸村はふわりと口角を上げて笑った
やってることは、ヒドイことなのに、この笑顔を見てしまうとどうしようもなく幸村のことが愛おしくなって、仕方がない…

心臓がドキドキとなり、うるさい
お仕置きされて、こんな外で、誰に見られるかもわからないところで服を脱がされてるのに、なんてはしたないんだろう…




「キレイだよ、蘭」

「んっ…」




胸元に痺れるような痛みが走った
それは一度ではなく、何度も何度も降り注ぐ
キスマークを付けられていると気づいたのは3回目の痛みのとき




「あっ…、幸村ぁ…
そんなとこ、付けたら…」

「ん? なに?」

「体育の時、見えちゃう…」

「見えるように、付けてるんだよ?
言っただろ?お仕置きだって
蘭が誰のものかバカな男でもわかるようにしておかないとね?」




キレイな顔を崩さずにそんなこと言うから背筋がぞくりとした




「私は、幸村だけのものだよ…?
他の人なんて、目に入ってなんて…」

「知ってるよ 蘭に相応しいのは俺しかいないに決まってるでしょ?
わかってるよ、悪いのは周りの男の方だって」




何個目かわからないキスマークを付けながら幸村は言った




「でもね、蘭にも非があると思うんだ…こんなに可愛いのに、無防備に男に愛想を振りまくから…」

「そんなっ…愛想なんて…」

「自覚が無いのかい?
ますますイケナイ子だね…」




柔らかくて、温かい声なのに
こんなに優しい手つきなのに
瞳だけは凍てつくように冷たく鋭い
そんな刺すような瞳すら怖いと思いながらも愛しく感じてしまうから私は彼から離れられない
もとより離れる気もないのだけれど




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