中学生
□詐欺師
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放課後の教室
ここが私の大好きな場所
窓から校庭を眺めれば部活に勤しむ人たちが見える
私がいつも眺めているのはテニスコート
立海テニス部は全国大会2連覇中の強豪校
レギュラーは顔採点でもあるんじゃないかって疑うくらいイケメン揃い
でも、彼らは確かに全国レベルの力を持っていて立海の誇りなわけ
先にも言ってるとおりイケメン揃いだから、女子の憧れの的
そしてそれは私も例外じゃない
私が想いを寄せてるのは3年の仁王雅治
1年の時から同じクラスで、たまたま屋上でサボっている雅治に遭遇してそこから何となく仲良くしている
仲良くしていると言っても、人気者のテニス部員には中々近づけないから会えば話す程度の仲
だから3年かけて少しずつ仲良くなったわけ
仁王君呼びから雅治呼びになるまで長かったなぁ…
なんて考えながらテニス部の練習風景を眺める、テニス部の…というのは建前だ…、私の目は無意識に雅治ばかりを追いかけている
でも、今日の雅治はなんだかいつもと違う…調子でも悪いのかな?パフォーマンスが下がってるわけじゃないけど、なんかいつもと違う気がする
あまり気になりすぎてまじまじ見つめていたせいで、私しかいない教室に誰かが入ってきたのに気づかなかった
「蘭さん、まだ帰らないのですか?」
「柳生君、あれ?部活は?」
「生徒会の仕事がありまして、遅れて行くんです
それより、帰らないのですか?確か貴女は部活動に所属していませんでしたよね?」
「え、あ、うん」
どうして柳生君がそんなこと知ってるんだろう?まぁ、同じクラスだし、部活入ってない子少ないから覚えてるのかな
まさかテニス部の人に向かって、ここから毎日テニス部の…、雅治の練習眺めてるなんて言えるはずもない
「そういえば、貴女は仁王君と仲がよかったですよね」
「仲がいいっていうか、会えば話すって感じかな
ほら、テニス部の皆 モテるでしょ?だから中々、たくさんは一緒にはいられないんだ」
「そうですか
貴女は仁王君のことどう思っていますか?」
「どうって…言われても…」
まさか、雅治のことが好き、だなんて柳生君に言えるわけない
確か柳生君は雅治とダブルス組んでるんだよね?そんな人に言っちゃったら雅治に言ってるようなもんじゃん…そんなのムリ……
どんな答えを返そうかと視線を泳がせていると窓の外の雅治の姿が目に入った
「そういえば、今日の雅治 調子でも悪いのかな?なんかいつもと違うの」
「仁王君ですか?」
窓の外を見るため柳生君が私の隣に来る
あれ?そういえば…
「いつもと同じだと思いますが?」
「ううん、違うの
私 いつもここから雅治のこと見てるから分かるの
今日の雅治は、いつもと違う…ううん、あれは雅治じゃない
そうでしょ??柳生君…じゃないよね?雅治」
「ほう」
柳生君はそう呟き眼鏡を外した
「いつ気づいたんじゃ?」
「言ったでしょ、私 いつもここから雅治のこと見てるの
今日の雅治は、なんだかいつもと違うなぁって思ったの
あと、私 柳生君とちゃんと話したことないんだ
ダブルス組んでる雅治のことすら『仁王君』って呼ぶ人があまり話したことない私のこと名前で呼ばないでしょ?」
「上出来じゃ
柳生も俺に化けるのは相当上手くなったと思っていたんじゃがのぅ」
見た目は柳生君なのに話してるのは雅治なんてなんだか不思議な世界に迷い込んだみたいだ
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