最強の海軍は最低の男
□第九話 海賊女帝
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女ヶ島へと到達したバローネは早速ハンコックに会いに見聞色を使って見つける。海軍が勝手に来たのに気付いたのか九蛇の部下達が現れた。
「海賊女帝、ボア・ハンコックに会いたい。いいかな?できれば女性を傷付けたくないのだが」
部下の一人がこれが返答だと言わんばかりに矢を放つ。バローネはアッサリと掴み横を掠めるように投げ返した。矢は木々を貫通して岩すらも貫いた。たったこれだけで部下達は後退りしてしまう。
「まさか、海軍がこの女ヶ島へと乗り込むとはのぅ」
「なんだババア。俺はボア・ハンコックに会いたいのだが、邪魔すんのか?」
「するわけなかろう。今のだけで貴様の力が理解できたわい。会わせてやるよ。あのわがまま蛇姫にの」
そこに小さなお婆さんが現れて案内をしてくれるようだ。このお婆さんの名はニョン婆。昔は先代蛇姫だったようだ。バローネは部下に後で付いてくるようにと命令してからニョン婆の後をついて行く。ただし、ニョン婆の姿を目に写さず前だけを見ている。森を歩き開けたところに出る。
「ほぉ…村か」
「さよう。あの城にわがまま蛇姫がおるわい。さ、来なさい」
バローネ的にはもうニョン婆の案内など必要なかったのだが、勝手に行ってしまったので仕方なく一緒に行くことになってしまった。
「ニョン婆!貴様がなぜいる!追い出したはずだ!」
「そんな婆のことなんざどうでもいいだろ」
「…海軍か。また妾になにようじゃ?」
「先の海軍から聞かされなかったか?招集されただろ」
「断る。なぜ妾が政府の命令に答えなければならんのだ」
「悪いが拒否権はない。無理矢理にでも連れていくぞ」
バローネとハンコックとの初対面。バローネはハンコックの美貌とスタイルに期待する。ハンコックもバローネの目線に気づいて嫌悪な目線を向ける。
「妾を無理矢理だと?不可能じゃ。なぜなら妾は美しいからじゃ。美しい者は、なにしても許されるのじゃ」
「確かに美しい。俺が知るなかで一番と言っても過言じゃねえ」
「よくわかっておるの」
「だが、それだけだ。それだけで通るほど、世界は甘くない」
「なら、その身をもって知るがよい。我を見たものは、やましい心をもちその身を堅くする。まるで、石のようにな。メロメロ甘風(メロウ)」
ハンコックはメロメロの実の能力を使ってバローネを石にしようとする。だが、バローネには効かなかった。それに二人の妹とニョン婆が驚く。だが、それ以上に驚いているのはハンコックである。
「バカな!?妾のメロメロ甘風(メロウ)が効かぬだと!?貴様にはやましい心はないのか!?」
「別にそうでもないぜ?お前は確かに美しいぜ。やましい心をもつのは当たり前だ。だがな、それだけだ。お前の悪魔の実の能力なんざ、俺には効かねえよ」
「お姉様!」
「この男は危険です!今のうちに始末しておかねば!」
ハンコックの側にいた妹達が姿を変えていく。まるで神話の化け物の蛇に。
「ヘビヘビの実ってところか。それにしても、不細工な女どもだと思ってたがより不細工になったな」
「「ほざけ!!」」
「ふん!」
「お前達!」
妹達はバローネを殺そうと飛び出すが、バローネは座ったまま拳の風圧だけで吹き飛ばされる。たったそれだけで妹達は瀕死状態にされる。
「おのれ!者共!であえであえ!この男を殺せ!」
「ハンコック様!」
「やっぱり潜ませてたか。…うん。全員いるな。なら、これで十分だな」
ハンコックが叫ぶとあらゆる襖から部下達が溢れ変えるくらい出てくる。バローネは動じることなく、全員いることを見聞色で把握する。そして、バローネは覇王色を使う。ハンコック以外の者達が一斉に気を失う。ハンコックも膝をついてしまった。バローネはゆっくりと立ち上がり、ハンコックに近寄る。
「覇王色の覇気じゃと!?しかも、これほどの覇気、何者じゃ!お主は!?」
「改めて自己紹介を。俺の名はヴルム・ディラン・バローネ中将だ。以後、お見知りおきを」
「バローネ中将だと!?あの“災海”の!?」
「おお!知ってたのか?しかし妙だよなぁ?なんで海賊からはこうも知名度が低いんだ?」
バローネの異名の知名度が低いのには理由がある。ただバローネが容赦ないからだ。男海賊は全滅。女海賊も美人ならモノにして、不細工は全滅。目撃者も生存者もいないからである。
「まあいいや。さて、どうする?招集に応えるか否か。決断してもらおうか」
ハンコックの返答は…