最強の海軍は最低の男

□第八話 ニコ・ロビン
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バローネの軍艦はポルシェの所属していた海賊団を消滅させてから順調に航海していた。そんな時である。海兵の見張りが何かを発見したようだ。

「バローネ中将!こちらに何かが接近してきます!」

「あ?どこのどいつだ?特徴とかわかるか?」

「えと…う、海の上を凍らせながらチャリで…!」

「あぁ…あの人か。こっちに来てんだな?」

「ハッ!」

「なら迎えてやらないとな。出迎えをしてくれ」

バローネはそれだけで誰が来るのかわかった。同じようにわかった人物もいる。ロビンである。ただし、ロビンは怯えである。身体を丸めて震えている。しかし、すぐに気丈にする。海の上を凍らせてチャリで来た人が軍艦に乗り込む。その男の正体は…

「よぅ〜、久しぶりだなバローネ中将。一年ぶりだね」

「こちらこそ、お久しぶりですクザンさん。いえ、青雉大将と呼んだ方がいいですか?」

「いつも通りクザンでいいよ。しっかし、また女増やしたのか?相変わらずだねぇ」

「ええまぁ」

クザン、またの名を青雉大将。海軍の三大将であり、海軍最高戦力の一人である。バローネも高い身長。ヒョロっとした肉体なのに、その身体から滲み出るオーラは強者そのもの。初めて会うナミ達は驚いたが、それ以上に驚いたのがバローネが敬語をしたことである。ちなみにバローネは敬意に値する人物には敬語をするのである。

「あらあら、本当にこの軍艦に、バローネと一緒にいるんだな。ニコ・ロビン」

「青雉…!」

青雉はめざとくロビンを見付ける。ロビンは青雉に怯えて足が後ろに下がっている。

「ん?クザンさん、ロビンのことを知ってるのですか?」

「ああ。こいつを助けたのは一応俺だからな」

青雉はロビンの過去を話した。バローネは知っていたが、知らない者達はとても驚いていた。バローネは青雉がロビンを助けたのがビックリである。だらけた正義がモットーである青雉であるが、敵なら容赦ないのだから。

「意外ですね」

「まあな。それからはこいつは見ての通りだ。俺はこいつを始末しようと考えていた。しかし、バローネが手込めにしちまったからその心配もなくなったってことだ」

「ロビンが犯罪者だろうと今は俺の女ですからね。心配ないですよ」

「そうだな。ニコ・ロビン」

「な、なに?」

「どうやらお前は悪運どころか幸運がいいようだな。バローネの手込めにされたんだろ?」

「それがなに?」

「いや、ただお前は救われたな。もうお前は自由を手に入れられたな。これからはお前はなにしてもいいだろう。研究しようが調べようがな」

青雉はロビンを見て呟く。ロビンだけでなく他の者達もよくわからない。わかっているのはバローネと元CP9のカリファのみ。

「バローネ、俺が言うのもなんだが…ニコ・ロビンを頼む。一応海軍と政府はニコ・ロビンを狙うのを止めた。懸賞金も削除されるだろう。だが、納得しない奴等もいる。特に関わりがあった奴等なんかもな」

「だろうな。けどま、関係ないぜ。来たら追い返すだけさ。それに、身の程をわからせてやるのも海軍の仕事ってやつさ」

「そいつは仕事じゃねえよ。じゃ、そういうわけだから俺は行くわ」

「同行しなくていいのですか?」

「いいよ。他の軍艦に乗せてもらって帰るさ。俺がおったらニコ・ロビンが困るだろうしな」

「ん〜…そだな」

「じゃ」

青雉はチャリに乗ってまた海の上を凍らせて漕いで行った。ロビンは青雉がやっと居なくなったのか息をゆっくりと吐いて落ち着こうとしていた。

「バローネ…貴方…青雉と…」

「クザンさんは俺が敬意を払うに相応しい人物の一人さ。模擬戦も何度かしたことあるしな」

「そう…」

「安心しな。クザンさんがああ言ったんだ。心配ないさ。もし、お前を狙った政府や海軍が来たら…力という名で追い返してやるさ」

バローネはそう言って航海を続ける。ロビンは後に知る。バローネの力は自分を絶対に守ってくれると。
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