最強の海軍は最低の男
□第二話 魚人に支配された村島
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「それは騙されてるな」
「ッ!?なに言ってるのよ!一億ベリーさえ貯めれば村は!」
バローネの一言にナミは激昂する。激昂するのは仕方ない。騙されてるなんて言われれば怒らないわけはない。しかし、バローネは広い視野で気付いたのだ。
「悪いけど、相手は海賊だ。海賊が島を村を支配しといてそれを手放すなんてありえない。しかもナミ、君は航海士としての才能が高い。それを手放すなんてさらにありえない」
「で、でも!海軍もいるのよ!さすがに…!」
「その海軍、ネズミ大佐だったっけな。今の話を聞くかぎりそいつは金に汚く汚職に手を出したクソだ。どうせ海賊と手を組んで汚職をしてると見て間違いない」
「そ、んな…!」
ナミはバローネの正論に反論できることなく、膝をつき手を地におく。かなりショックなようだ。
「わた、しは…!私は、何のために…!」
「…ふっ、ナミ。アンタは運がとてもいいな。とっても幸運だ」
「な、にを言ってるのよ!どこが幸運なのよ!不幸よ!最不幸よ!」
「なぜなら、この俺に出会えたんだ。とっても運がいいじゃないか」
ナミは落ち込むが、バローネは立ち上がり不適な笑みを浮かべる。ナミは激昂するが、バローネは笑う。自分に出会えたことに。
「どういうことよ!説明しなさいよ!」
「それは今から教えてやるよ。おい!」
「ハッ!」
「これからココナツ村に向かうぞ!そこにいるアーロン一味っつう海賊どもとそれに荷担しやがった裏切りの海軍どもを殺しにいくぞ!」
「了解しました!バローネ中将!」
「中、将?」
バローネは廊下にいる部下を呼び出して指示を出す。部下は敬礼しながら指示に従う。その部下の中将という言葉にナミはバローネを見つめる。
「改めて自己紹介をしようか。俺の名前はヴルム・ディラン・バローネ中将。海軍本部の海兵だ。よろしくな!」
バローネは笑いながら自己紹介をして、ナミを抱き上げて甲板に移動した。そして、性濁艦はナミの故郷、ココナツ村へと出航した。
ナミはバローネと出会った時、こうなるとは思いもしなかった。いくら海軍本部の中将だとしても、相手は魚人の海賊団。人間よりも力が強いそいつらが相手では敵わないと。しかし、蓋を開ければアーロン一味はアーロン。除いて全滅した。ココナツ村にやってきたのはナミと出会って数日後、ココナツ村に到着した性濁艦は海獣に教われたが、一般兵数名に倒された。そして、着艦してアーロン一味のアジトに降り立つ。
「あん?誰だてめえら。海軍か?」
「海軍本部、バローネ中将。頼まれてお前達を殺しに来た」
「なに?ナミ、キサマ…!」
「…騙したわね。一億ベリーを集めれば解放するって!騙したわね!」
「ククッ、シャァーハハハハ!!ようやく気付いたのか!所詮は下等生物!だがな、お前のその航海能力は必要なんでな」
「悪いがお前の話を聞く気はないんだ。さっさとてめえらをぶち殺してやるよ」
「シャーハハハハ!!ぶち殺すだと?下等生物ごときがか?冗談もそこまでいくと笑えるぜ。だがな、ぶち殺されるのは…てめえらだ!やっちまえ!」
そう言って戦いはじめて数分後、バローネ一人に皆殺しにされた。その圧倒的蹂躙にナミとアーロンは呆気にとられる。アーロンは全滅させられて憤りを募らせる。顔は怒りの形相をしていた。
「キサマ…!よくも、よくもオレの部下達を!バカな!オレ達は魚人だぞ!人間の進化系だぞ!キサマのような下等生物ごときに!」
「下等生物か。その下等生物に殺られたキサマらはなんだ?そこらへんのゴミか?」
「キサマアアァァ!!!」
アーロンは激昂しながら巨大なノコギリ型の武器、キリバチを振るう。刃がバローネの肩に刺さろうと。しかし、刃が肩に刺さった瞬間、止まる。まるで何かに阻まれたかのように受け止められた。
「バ、バカな…!?なぜ刺さらない!なぜだ!?」
「こんなガラクタごときで、俺にキズを負わせれるわけないだろ?」
「くっ!グアアアァァァ!!」
アーロンはバローネを切り刻もうとより力を込める。しかし、逆に刃にヒビが入り、キリバチは砕けてしまった。
「グッ!」
「やはり、ガラクタだったな」
「グウッ!シャァーッ!!鮫・ON・DARTS(シャーク・オン・ダーツ)!!!」
「ふん」
アーロンは武器を捨てて、その鋭い鼻先でまるで弾丸のように突撃してくる。だがバローネはそんなアーロンの鼻を素手で掴む。
「くだらん」
「ぐ!ぐぅあああああっっ!!ぎゃあああああっっ!!!があああっっ!!」
バローネはアーロンの鼻を曲げて、さらにへし折る。折れた鼻から鮮血が吹き出し、アーロンは鼻を押さえる。アーロンは苦しむが、その目はまだ怒りにうち震えた。