最強の海軍は最低の男
□第十二話 頂上戦争(後編)
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ルフィが広場へと降り立つ。最悪の世代のルーキーが一番乗り。それだけで海賊は歓喜し、海軍は警戒する。しかし、三大将とバローネは違う。ルフィにこの闘いは早すぎると。それはルフィも本能で理解していた。ルフィの目的は一つ、エースを救出すること!
「うおおっ!」
「なるほどね。その丸太はそのためか。だが…そんな浅知恵では無理だ」
バローネの言う通り、ボルサリーノの力であっさり横に吹っ飛ばされる。それでも立ち上がろうとすると今度はクザンが襲う。もう終わりだと。誰もが思った。
「お?マルコか」
ルフィは助かった。助けたのはマルコ。バローネはルフィに意識を向けてしまった。その隙をつかない白ひげではない。
「…!なに!?まさか海底に隠してたとは。さすがは白ひげか…!まさか、あの空いた所に!」
「オーズ!」
「わがっでる!オヤジ!」
オーズJr.は生きていた。恐るべき生命力である。オーズJr.は白ひげ総員が乗る海賊船を広場へと乗り上げた。これにより、白ひげ海賊団も広場へと降り立つことができた。
「野郎ども!!エースを救い出せ!!」
白ひげの檄により部下達は叫びながら突撃する。処刑台に近づいてきたのだ。さらに士気が高まっていく。だが、そこは最後の難関。海軍達も総力を上げて反撃する。もちろん、バローネも。
「オォラ!!白ひげ死ねえ!!」
「ふん!!」
「親父!」
「きはは!いいねえ!その慕われた親父ってのはよ!敵同士じゃなけりゃあ是非ともご教示願いたいところだぜ!」
「グララララ!ガキが!バカなこと言ってんじゃねえぜ!」
「アホか!これでもガキが何人もいんだよ!」
「ふん、あの野郎のガキだということか」
「ケッ!だが敵だ!死んでガキに見送られな白ひげ!!」
「アホンダラ!俺は白ひげだ!簡単に死ぬかよ!」
「うおおっ!!」
バローネと白ひげがぶつかり合う。しかし、白ひげの方が力が強かったようだ。弾かれて斬られるように吹っ飛ばされる。その光景に海軍は慌てる。あのバローネが力で負けたのだ。しかし知るものは別、バローネは無事だとわかっていた。
「ん〜…!危ない危ない。下がってなかったらかなり食らってたかもな。しかしさすがは白ひげか。そう簡単には殺れねえか」
「フッフッフッ…!あの白ひげ相手にほぼ無傷か」
「あ、ドフラミンゴ。よっと。別に無傷ってわけじゃねえんだけどな。お気に入りの服がこうなっちまったよ」
「フッフッフッ…!服を気にするか。イカれてるぜ。ああそうそう、あいつらがお前に会いたがっていたぜ」
「マジか。そうだよな。イーストブルーでの任務から随分経ってるもんな。そろそろ会いにいかないとな。この戦争が終わったら必ずそっちに行くわ」
「その方がいい。あいつらから報告があるらしいからな」
「報告?わかりました。そんじゃあまたぶっ殺してやりますか。よっと!」
バローネが吹っ飛ばされた場所に七武海の一人、ドンキホーテ・ドフラミンゴが話しかけてきた。天夜叉と呼ばれた男でとある秘密を持つ海賊。実はバローネとは個人で付き合いがある。それはいずれ…それはともかく、バローネは月歩で戦場に戻る。まさにジャストタイミング。今まさに、エースが処刑されようとしていた。
「エース!!」
「やらせるか!」
「エースもこれで最後か。本当に終わりか?」
エースの首に刃が降り下ろされる。その直前であった。これがバローネがルフィに完全に興味を持ち、利用しようと企むようになったのは。
「やぁめぇろぉぉぉおおおおおお!!!!」
「…!な!?覇王色の、覇気、だと…!まさか…!海賊になったばかりの奴が…!覇王色の覇気を…!無意識とはいえ発動させるとは…!」
ルフィが覇王色を無意識に発動させたのだ。これには海賊も海軍も驚愕。意志の弱いものはその場で気を失う。一つ確かなことがある。それは、麦わらのルフィが今この場を支配しているのだと。