最強の海軍は最低の男
□第九話 海賊女帝
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「七武海召集?」
『そうだ。お前がクロコダイルを捕らえたので、七武海に空欄ができた。そこで新たな七武海の候補を選ぼうと思ってな。他の七武海に召集をかけたんだが』
「応じないだろ?政府の犬とはいえ所詮は海賊なんだ。応じる物好きなんかいないだろ」
『うむ。実際召集に応じたのはジンベエとバーソロミュー・クマの二人のみだ』
バローネ達はグランドラインの中間にさしかかり、海軍本部へと赴こうとしていたところでんでん虫から連絡がきた。そして、冒頭である。相手はセンゴク元帥。
「んで?俺にどうしろと?」
『七武海の召集だ。すでに何人かに他の七武海どもに召集させるように向かわせてある。だが相手は七武海、そう簡単にはいかん。そこでお主に行ってもらいたい』
「俺、すか。まあ構わないけど、気が乗らねえな」
『そういうと思っていたわ。そこでお前がやる気がでる相手を頼むつもりだ』
「誰っすか?」
『海賊女帝、ボア・ハンコックだ』
「喜んでやらせて頂きます!」
バローネのなんという手のひらの返しか。先ほどまで意欲もなく、やる気もなかったのに。当然である。海賊女帝ボア・ハンコック。女帝に相応しく強く美しい海賊女である。さらに彼女が率いる九蛇海賊団も女ばかり。男ならテンションが上がらないわけはない。
『そういうと思っておったわい。やり方はお前に任せる。好きにしろ。ただし、七武海をやめさせるようなことはさせるなよ』
「つまり、七武海をやめさせないようにさえすればナニしてもいいと?」
『ああ構わん。貴様のやり方で何としても召集させるようにしろ』
「わかりましたセンゴクさん。んじゃ」
受話器を下ろしてでんでん虫を切る。バローネは口を歪ませるほどの笑みを浮かべて甲板へと移動する。
「お前ら!仕事だ!進路変更!女ヶ島への舵をとれ!野郎ども!九蛇海賊団が相手になる!どういう意味かわかるな!?選り取り見とりの女と楽しめるぞ!」
『『『うおおおおっっ!!!』』』
「いくぞ!」
バローネは男達のテンションを高めるような言い方をする。女達はバローネの目的がわかってしまい喜んでいる。新しい妻ができる。仲間が増えると。
女ヶ島…その島の名前通り女が支配する島だ。そこを支配するのは九蛇海賊団。そして、その九蛇海賊団を率いてるのが海賊女帝である。普通なら狙われて当然の島と海賊団。しかし、ただの部下ですら並の野郎どもなんか歯がにかけないほどの強さを誇っている。特に海賊女帝は七武海になるほどの強さ。そして最大の理由は…
「ここらへんは大型の奴等が根城にしてるからな。普通は通らねえのがセオリーだ」
「きゃああっ!バ、バローネ!」
「あいよ。オラお前ら!ちったあ働きやがれこんな雑魚くらいにビビってんじゃねえ!」
『『『そんな海王類どもを雑魚扱いできるのはバローネ中将だけですよ!!』』』
「なさけねえ!」
そう、最大の理由はそこまでの道のりである。この海域には大型の海王類がウヨウヨといる。特別な鉱石でできた船で突破する以外に安全な方法はない。何もなければ海王類の餌にされるのがオチである。しかしそこはバローネ、常識がおかしい。バローネは海王類を凪ぎ払うように殺していっている。そんな光景に部下達からの総ツッコミがくる。そんなこんなで通過したバローネ達は前にある軍艦を見つける。
「あれ?モモンガさんじゃねえか。なんだよ。部下達全員石にされてるじゃん。使えねえ」
「…ッ、バローネ中将か。ボア・ハンコック、奴は思った以上に強くてな。悪魔の実の能力。これほどとは」
「ふ〜ん。ま、いいっすけど。あとは俺がやるから。あんたらは安全な所で待機でもしててくれ」
「ああ」
味方の海軍がモモンガ中将を除いて皆石にされていた。ハンコックには悪魔を実、メロメロの実の能力者である。その名の通り相手を魅了して石にする。まるで神話の蛇の怪物のような能力である。しかし、バローネに果たして通用するのであろうか?バローネ達は女ヶ島へと到達した。